ほとんどの脊柱動物にはある肋骨(ろっこつ)。
「あばら骨」といった方が、ピンとくる方も多いのではないでしょうか?
ですが、この肋骨(あばら骨)なんとなく手を当ててここかな?
というのはわかっていても、何本あってどこにあるのか、正しい場所を正確に示すことができる方は少ないと思います。
そこで今回は、肋骨(読み方は「ろっこつ」英語表記で「rib」)について
- 場所
- 起こる問題(疾患)
- 痛みが出る場所
などを、図や画像とともに解説していきたいと思います。
肋骨の場所を図でわかりやすく解説
肋骨は、片側12本・両側で24本からなります。
第1肋骨〜第12肋骨まで順番に名前がついています。
形的には、後方から前方に向けバナナがねじれたような形をしており、胸骨や椎体骨とともに、胸郭(きょうかく)という構造を形成し、外部からの衝撃に対し内臓を保護する役割があります。
胸部レントゲン画像
こちらは健診などでも撮影される胸部レントゲン画像ですが、黒い部分が肺なので、その肺を取り囲むように肋骨があるのがわかります。
(実際の胸部レントゲン画像に肋骨に全て色をつけています。)
3DCT画像
続いて、さらにわかりやすいCT画像を再構成した3DCT画像です。
肋骨がバナナがねじれたような形をしているというのが、よくわかりますね。
立体的に肋骨が中の肺や心臓を保護していることがわかると思います。
肺の場所についてはこちらにまとめました→肺の場所を図で解説!痛みが出る部位はココ
肋骨が椎体である胸椎で後ろとつながり、胸骨と前で繋がっている様子がわかります。
また、
- 第七肋骨までは真助といい、胸椎と胸骨とをそれぞれ連結
- 第八〜第十二肋骨は仮助といい、第八〜十肋骨までは上部の助軟骨を介して胸骨に連結
- 第十一・十二肋骨は胸骨に連結せず浮遊助
ともいわれます1)。
肋骨に起こる問題は骨折だけじゃない?!
肋骨に起こる病気としては、
- 肋骨骨折
- 肋骨疲労骨折
- 胸郭出口症候群
- 漏斗胸(胸郭変形)
- 先天性側湾症(肋骨異常)
- 肋間神経痛
- 肉腫・腫瘍
などがあります。
とくに肋骨骨折は、転倒・打撲・圧迫・咳・くしゃみなどでも起こることがあるのです。
肋骨の問題で痛みが出る場所は?
胸や背中に痛みを伴うことが多くあります。
これは、第一〜十二肋骨までの問題の起こった場所によっても異なります。
肋骨は左右で24本もあり、さらに立体的な構造をしているので、痛みを伴うことがある部分はかなり胸部の広い範囲となります。
また痛みが波及し、上肢(肩・腕・肩甲骨)にまで痛みや痺れが出ることもあります。
ただし、骨折をして息苦しく感じた際は、肺にまで損傷を受けていることもあるため、そういった場合には注意が必要です。
一部の肋骨と前方で繋がっている胸骨の場所や解剖についてはこちらにまとめました→【画像あり】胸骨の場所・解剖まとめ!
参考文献:
1)第9版 イラスト解剖学P69・70
病気がみえる vol.11 運動器・整形外科P220〜224
整形外科疾患ビジュアルブック P346
解剖学講義 改定2版P79
全部見えるスーパービジュアル整形外科疾患 P39
最後に
肋骨の場所・解剖についてまとめました。
- 肋骨は、心臓や肺を取り囲むようにある
- 第1肋骨〜第十二肋骨まで、片側12本、両側で24本ある
- 起こる可能性のある問題として、肋骨骨折・肋骨疲労骨折・胸郭出口症候群・漏斗胸(胸郭変形)・先天性側湾症(肋骨異常)・肋間神経痛・肉腫・腫瘍などの疾患がある
- 肋骨の問題で、胸や背中に痛みが出ることがある
という点がポイントです。
参考になれば幸いです(*^_^*)