肩が上がりにくくなる疾患に肩関節周囲炎というものがあります。

肩関節周囲炎というと、聞きなれない病名と思われるかもしれませんが、「五十肩」と聞くと、ピンと来る方も多いでしょう。

今回は、この肩関節周囲炎(読み方は「かたかんせつしゅういえん」英語表記で「scapulohumeral periarthritis ,  frozen shoulder」別名「五十肩」)について

  • 原因
  • 症状
  • 評価
  • 治療

をお話ししたいと思います。

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肩関節周囲炎とは?

肩関節の可動域制限が生じている状態(拘縮「こうしゅく」)を肩関節周囲炎といいます。

40代〜60代に起こりやすいことから、五十肩ともいわれますが、別名「凍結肩(frozen shoulder)」ともいいます。

男性よりも女性に多く、よく「肩が上がらない」などと表現されることが多くあります。

肩関節周囲炎の原因は?

加齢や過労によって、肩関節を構成する組織の炎症性病変(滑液包炎)が生じ、関節包が短縮するために可動域に制限が出ると考えられています。

しかし、明らかな外傷がないことが条件となります。

また、糖尿病・甲状腺機能低下症(亢進症)・パーキンソン病・心疾患・外固定などが症状をひどくする誘因となっているといわれています。

関連記事)【まとめ】関節の種類を図で解説!仕組みや機能も

肩関節周囲炎の症状は?

進行すると肩だけでなく、胸・腕・肩甲骨周囲・背中にまで違和感や凝り、痛みが生じるようになります。

この症状の進行により、

  • 痙縮期(フリージング期)
  • 拘縮期(フローズン期)
  • 回復期(ソーイング期)

に分けられます。

医師
それぞれに分けてご説明します。

痙縮期(フリージング期)

  • 強い疼痛

滑膜炎のために痛みが生じ、徐々にその痛みが強くなり、可動域制限も出現します。

拘縮期(フローズン期)

  • 痛みは軽減
  • 可動域制限は持続

徐々に痛みは減ってくるものの、関節包の拘縮のために可動域制限は持続した状態で、日常の動作にも支障をきたします。

回復期(ソーイング期)

  • 痛みの減少
  • 可動域制限の軽快

徐々に症状は治まってきます。

しかし、この回復までには半年〜2年ほどかかるといわれています。

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肩関節周囲炎の評価は?

単純X線をおこなっても、特有の所見はありません。

肩関節周囲炎は以下の検査によって評価することが、ガイドラインで勧められています。

  • 可動域の確認・・・どの程度の可動域制限が出ているのか確認
  • 筋電図・・・上部僧帽筋の活動が下部僧帽筋の活動より高くなる傾向
  • 交感神経・・・交感神経の作用が低下
  • 触診・・・皮膚温度の分布異常
  • 動作解析・・・肩だけでなく、体幹の確認、腕の上げ下げ、肩甲骨の傾斜確認など
  • 特殊テスト・・・シュラグサイン(肩外転運動時に肩甲骨が拳上する)

このような評価と考えられる原因を踏まえ、診断されます。

また、レントゲン検査では、先ほど述べたように特有の所見はありませんが、他の病気と鑑別するために肩関節のレントゲンやMRI検査が行われることがあります。

肩関節周囲炎の治療は?

保存療法もしくは、手術療法が選択されます。

医師
それぞれについてご説明します。

保存療法

  • 局所安静・・・痛みのある側を使わない・サポーター等で保護
  • 温熱療法・・・温める
  • 体操・・・コッドマン体操(痛む腕でお守りを持ち、体を机などで支えて無理のない程度に振り子のように動かす)
  • 神経ブロック・・・ブロック注射で痛みを緩和
  • NSAISs・副腎皮質ステロイド薬・ヒアルロン酸注射・・・痛みのある部分に注射
  • 麻酔下徒手授道術・・・麻酔をした上で、施術者が手で肩関節側に力を加えて動かす

コッドマン体操は以下の動画を参考にしてください。

手術療法

保存療法で効果が見られない場合、痛みがひどい場合には手術を検討します。

  • 関節鏡下関節包解離術・・・関節鏡によって硬くなった関節包を切離する手術です。

参考文献:整形外科疾患ビジュアルブック  P244
参考文献:全部見えるスーパービジュアル整形外科疾患 P224・225

最後に

  • 肩関節が拘縮している状態
  • 肩関節周囲炎は五十型や凍結肩ともいう
  • 加齢や過労が原因となり、40〜60代女性に多い
  • 肩だけでなく、胸・腕・肩甲骨周囲・背中にまで違和感や凝り、痛みが生じる
  • x線で特徴的な所見はないため、様々な症状を見て評価する
  • 基本的に保存療法を行い、効果が見られなければ手術を検討する

 

無理に症状がひどい時にストレッチをおこなうと、余計悪化する場合もあります。

ストレッチをおこなうのは、痛みを生じなくなるまで症状が落ち着いてから始めるのが良いでしょう。

しかし、正確なその時期に関しては悪化させてしまわないためにも、医師に指導してもらいましょう。

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