踵の骨の骨折は、大変だって聞いたことがあるんだけど本当?
踵の骨には、歩くときに一番体重がかかります。
踵の骨を骨折する可能性は稀ですが、骨折すると厄介・・・
今回は、踵骨骨折の疑問にお答えします。
- 歩けるようになるまでの期間
- 治療方法
- リハビリ
- 後遺症
この4つが気になるところではないでしょうか?
詳しく説明しますね。
踵骨骨折!歩けるようになるまでの期間はどれくらい?
手術を行う場合
術後6週以降、部分的に体重をかけて歩く練習を開始。
術後10~12週以降、全体重をかけて歩く練習を開始します。1)
手術を行わない場合
2~3週間はギプス固定し、体重をかけない状態を保ちます。
3週以降、ギプスにヒールをつけて、部分的に体重かけて歩く練習を開始します。
(ギプスに緩みが生じた場合は、巻きなおしてきちんと固定を図る)
6~8週以降、ギプスを外して歩く練習を開始→足底板を使用して痛みを防ぎましょう。2)
(回復状況でギプスの期間が延びることもある)
踵骨骨折は、痛みも強いため痛みの度合いを確認しながら慎重に歩く練習を進めていきます。
踵骨骨折の治療法は?
手術をしない保存療法と手術療法があります。
踵骨は、たくさんの関節と接しており、足首を動かしたり・歩いたりする動作のおいてとても重要な役割を担っています。
保存か手術かを選択する場合、関節外の骨折か関節内の骨折で決定します。
関節外骨折の場合
保存療法となります!
医師が踵骨のズレを元に戻し、元の位置に踵骨が戻ったことを確認しギプスで固定。
腫れがひどい場合には、腫れがひいてから徒手整復してギプスで固定します。
腫れがひくまでの間は、安静・冷却・圧迫・挙上などで対応しますよ。
関節内骨折の場合
手術療法の適応です!
- プレートを使用した標準的内固定術
- スクリューを使用した小侵襲内固定術
があります。
手術を行った場合は、ギプス固定の必要はありません。
踵骨骨折の分類などはコチラ→【X線・CT画像あり】踵骨骨折とは?症状や分類、治療期間について解説
踵骨骨折のリハビリは?
リハビリの内容としては、
- 関節を動かす(保存の場合は、足指を積極的に)
- 筋力増強運動
- 歩行練習
- バランス練習
などがあります。
それは!
足首を固定する期間があるかないか
です。
固定期間がある保存療法は、足首が硬りやすくなります。
足首が硬くなると、歩く動作やしゃがみこみの動作などに支障をきたすことが。
これらの改善のために、リハビリはとても重要!
関節を動かす
足首の関節を積極的に動かします。
手術の場合は、術後すぐに動かすことができますよ。
主に、理学療法士が徒手的に関節を曲げこみます。
保存療法の場合、少なくとも8週間はギブス固定をすることになります。
ということは、足首はずっと同じ角度で固定された状態を保つということです。
8週間の間に足首は必ず硬くなります。
そこで、
足の指を積極的に動かすということ!
が大切なんです。
足首の硬さを補ってくれるのが、足指の動き。
足指が上手く伸びたり曲がったりすることで、足底のアーチの形状を変え足首の動きを引き出します。
方法としては、
- 足指でタオルをたぐり寄せる
- 足指でお手玉を挟む
- 足指でビー玉を挟む
などがありますよ。
↑タオルを濡らすとより負荷がかかり効果的です。
↑箱に入れるときに、膝から持ち上げることで足指だけでなく太ももにも効果的。
↑始める前に、箱の中のビー玉を足指でコロコロすることで、刺激が入ります。
親指と人差し指を使う方法では、効果がありません。
筋力増強運動
ギプス固定してから3週間は、骨折した足に体重をかけることができません。
これは、筋力低下を招きます。
ギプス固定期間に積極的に筋力増強運動を行いましょう!
方法としては、
- 理学療法士による抵抗運動
- 重りを使用しての抵抗運動
などがあります。
全体重をかけてよい時期になれば、スクワットなども行います。
杖を使って歩く練習を行うので、腕や体幹も鍛えておきましょう。
また、運動を始める前には必ず各関節を動かしておいてくださいね。
歩行練習
部分的に体重をかけてよい時期がきたら、歩行練習を開始(保存→ギプス固定3週以降・手術→術後6週以降)
例としては、1/3→1/2→2/3→全体重というように体重計で確認しながら行います。
- 平行棒内歩行練習
- 歩行器歩行練習
- 杖歩行練習(松葉杖や一本杖)
- 杖なし歩行練習
など、段階をおって進めていきます。
踵部分に痛みがないか確認することが大切です。
痛みが強い場合には、指示された重さより軽めに進めていきます。
バランス練習
歩行練習が順調に進んでいくと、退院を目指すことになりますね!
私たちが日常生活を送る上で、
- 物を持って歩く
- 落としたものを拾う
- 細かな段差を越える
- またぐ動作をする
- 床に座る・床から立つ
- 階段の上り下りをする
これらは必ず行うことになります。
これを克服しなければ、安全に日常生活を送ることはできません。
ここで、重要となるのがバランス練習です。
- 片足立ちやその場での足踏み動作
- 背伸びやかがみ込みの動作
- 床からの立ち座り動作
繰り返し動作を行うことで、習得していきます。
踵を骨折した場合の後遺症は?
足首がうまく上に持ち上がらなくなる可能性があります。
この動作は、階段・坂道・細かな段差・でこぼこ道などが歩きにくいなどの障害があります。
- 保存の場合の固定期間
- 手術した場合もスクリューやプレートで可動性に制限
これらが理由として挙げられます。
踵は、歩くときに一番体重を受けます。
なので、体重をかけることでせっかく治りかけた骨がずれる可能性が。
だから、体重をかけて歩くことを慎重に行うのです。
踵は体重をかけることで、血流をよくし骨の硬さを保っています。
体重をかけない期間が長くなればなるほど、踵の骨はスカスカの状態になってしまうことが。
これが痛みを持続させることにもつながってしまうんです。
まとめると、
- 治りかけの骨がズレる可能性がある
- 踵の骨がスカスカの状態となる可能性がある(痛みにつながる)
この2点も後遺症といえますね。
参考サイト:踵骨骨折(一般社団法人 日本骨折治療学会)1)
踵骨骨折(古東整形外科)2)
まとめ
今回のポイントです!
- 術後6週以降、部分的に体重をかけて歩く・術後10~12週以降、全体重をかけて歩く
- 保存では2~3週間、体重をかけない状態・3週以降、部分的に体重かけて歩く・6~8週以降、ギプスを外して歩く練習
- 踵骨骨折の治療は、保存療法か手術療法
- リハビリは、関節を動かす(保存の場合は、足指を積極的に)・筋力増強運動・歩行練習・バランス練習である
- 後遺症としては、足首に制限がでる可能性・治りかけの骨がずれる可能性・痛みが残る可能性がある
踵骨骨折は、後遺症を考えると何をするにも慎重に行うことが重要なポイント。
痛みの程度を把握しながら、私たち理学療法士もリハビリを行いますよ。
慎重に丁寧にリハビリを行うことを心がけています。