スポーツ中に起こることの多い「アキレス腱断裂」は、重症度の高いスポーツ外傷といわれます。

とくに普段運動をしていない人が、久々スポーツを行い、起こる事が多いため

「アキレス腱が切れないように、まずアキレス腱をしっかり伸ばしてストレッチして!」

などというのを、よく耳にしますよね。

そして、アキレス腱を断裂すると、必ず手術が必要となって来るのでしょうか?

そこで今回は、このアキレス腱断裂(英語表記で「Achilles tendon rupture」)について

  • 原因
  • 症状
  • 診断(MRI画像)
  • 治療

を図やイラスト、実際のMRI画像を用いてまとめました!

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アキレス腱断裂とは?

アキレス腱は、かかとにある長さ20〜25cmほどある、人間の体の中で最も大きく強い腱で、この腱を断裂(切れて裂ける)してしまうことを「アキレス腱断裂」といいます。

このアキレス腱断裂には、

  • 完全に腱が切り離されてしまう「完全断裂」
  • 自覚症状に乏しく部分的に切れた「部分断裂」

があります。

アキレス腱断裂の原因は?

  • 踏み込み
  • ジャンプ
  • ダッシュ

など、下腿三頭筋(読み方は「かたいさんとうきん」下腿の筋肉の総称)が急激に収縮することで起こります。

また、それ以外にも、患部に直接外力が加わったり(直達外力)、患部が過剰に伸び過ぎて(過伸展)起こることもあります。

20〜30代のスポーツ愛好家だけでなく、よく40〜50代の人が久々に行ったスポーツで生じ、バレーボールやテニスなどで起こるのも有名です。

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アキレス腱断裂の症状は?

アキレス腱が断裂した瞬間(受傷時)に、衝撃を感じます。

  • 患部にボールが当たった
  • 患部を蹴られた

と感じることも多く、断裂した際にポップ音(断裂音)が聞こえることもあります。

この突然の衝撃から、激しい痛みを訴える人も多くいます。

そのため、受傷後は歩けなくなったり、歩けても爪先立ちはできません。

アキレス腱断裂の診断は?

  • 視触診
  • トンプソンテスト
  • 画像検査

などを行い診断します。

視触診

視触診で、アキレス腱の断裂した部分が窪んだ状態(陥凹)なため、触るとわかります。

また、圧痛を認めます。

トンプソンテスト

うつ伏せになり膝を直角に曲げ、ふくらはぎを強く掴むと、通常は底屈しますが、アキレス腱を断裂していると底屈しません。

つまり、トンプソンテストで陽性となれば、完全断裂が認められます。

 

画像検査

アキレス腱断裂を疑うものの、部分断裂など診断できない場合は、実際に確認するため、画像検査を行います。

画像検査では、超音波検査・MRI・X線検査などがあります。

MRI検査では、実際に腱が断裂している様子や、周囲の炎症波及所見を捉えることができます。

医師
まず正常のアキレス腱のMRI画像を見てみましょう。
症例 30歳代 男性 正常

MRIのT1強調像の矢状断像です。

かかとの骨である踵骨と連続する太くて黒いものがアキレス腱です。

医師
実はこの画像はこの記事を書いている私のものです。では、次にアキレス腱断裂のMRI画像をみていきましょう。

 

症例 30歳代 男性 左アキレス腱断裂

MRI画像の脂肪抑制T1強調像の矢状断像です。

アキレス腱の連続性が失われており、断裂していることがわかります。

その様子は、STIRや、T2強調像と言ったMRI撮像法においても確認することができます。

左アキレス腱の完全断裂と診断されました。

症例 60歳代 男性 右アキレス腱断裂

MRIのT2強調像の矢状断像及び断裂している部位の横断像(輪切り)です。

こちらもアキレス腱の連続性が失われており、断裂している様子がわかります。

横断像(輪切り)では、本来あるはずの黒い腱を認めず、反応性に生じた高信号の水(白い)を認めています。

右アキレス腱の完全断裂と診断されました。

症例 70歳代 男性 右陳旧性のアキレス腱断裂

こちらの症例では、過去に右のアキレス腱断裂があり、手術は行わずに保存的に加療されました。

MRIの脂肪抑制T2強調像の矢状断像では、アキレス腱の断裂は残っており、切れた腱の上下は肥厚していることがわかります。

歩行は可能です。

症例 60歳代 男性 4か月前に右アキレス腱断裂あり。保存的に加療

こちらも陳旧性(4か月前発症)のアキレス腱断裂の所見です。

ギブスで保存的に加療されていました。

液状変性している部位が断裂部位で、その頭側はアキレス腱の著明な肥厚を認めています。

歩行可能です。

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アキレス腱断裂の治療法は?

保存療法もしくは、手術療法があります。

保存療法

ギプス固定や装具療法で回復を待つこともあり、必ずしも手術が必要となるわけではありません。

しかし、手術療法の方が、筋力の低下が少なくて済むため、完治も早く望めます。

手術療法

手術では、アキレス腱縫合術という手術を選択されることが多くあります。

アキレス腱縫合術とは?
様々な手法がありますが、皮膚を切開し直接見ながらの直視下縫合と、皮膚に4箇所穴を開けて行う経皮的縫合により、いくつかの束に分けた繊維束をそれぞれ縫合する方法が多く行われます。

 

また、術後はギプス固定や装具療法が行われます。

治療開始から4ヶ月程で軽い運動許可がおり、スポーツに完全復帰できるようになるには、半年ほどかかります。

しかし、中にはスポーツ再開後に、再び断裂してしまうこともあります。

そのため、無理をせず、しっかり完治を確認してからスポーツを再開することをオススメします。

参考文献:
100%整形外科 国試マニュアル 改訂第6版P101

整形外科疾患ビジュアルブック  P229
全部見えるスーパービジュアル整形外科疾患 P166・167・324・325

最後に

  • アキレス腱断裂は、完全断裂と部分断裂がある
  • 下腿三頭筋が急激に収縮することで起こる
  • 断裂した瞬間がわかる
  • 視触診・トンプソンテスト・画像検査などから診断される
  • 保存療法や手術療法が行われる
  • アキレス腱断裂は、再発することもある

 

アキレス腱断裂は、上記で説明したように、重症な外傷となります。

そのため、アキレス腱を予防するためにも、ストレッチをしっかりした上で、スポーツに望みたいですね。

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