膝に痛みが生じる疾患の一つに、腸脛靱帯炎があります。

腸脛靱帯炎は、腸腔線帯症候群 ・ 腸腔靭帯摩擦症候群とも呼ばれ、英語表記で「tractus iliotibialis、iliotibial band friction syndrome」といいます。

マラソンランナーなどに多く発症し、膝の外側に痛みを感じることで有名です。

今回は、この腸脛靱帯炎について

  • 原因
  • 症状
  • 診断
  • 治療

を、画像と共に解説したいと思います。

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腸脛靱帯炎とは?

腸脛靱帯は、太ももの外側にある靭帯(筋肉)です。

大腿筋膜張筋から腸脛靱帯となり、骨まで続いています。

その腸脛靱帯に局所的な炎症を起こした疾患が腸脛靱帯炎です。

ランナーに多いため、ランナー膝(膝関節周辺のスポーツ障害の総称)ともいわれます。

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腸脛靱帯炎の原因は?

  • オーバートレーニング(鍛えすぎ・使いすぎ)
  • 急激な負荷

によって起こります。

膝を屈伸することで、腸腔線部と大腿骨外上顆の間に摩擦が繰り返されます。

それによって炎症性の変化を生じ、腸脛靱帯炎となります。

  • 長距離ランナー
  • 競輪(自転車)
  • 重量挙げ
  • エアロビクス
  • バスケットボール
  • 登山

など、屈伸を伴うスポーツにおいてよく起こります。

このようなスポーツ以外にも、長時間の歩行などでも見られることがあります。

東日本大震災の際に、帰宅困難者が長距離歩いて帰った時にも発症例が報告されています。

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腸脛靱帯炎の症状は?

  • 膝外側の疼痛
  • 大腿骨外側顆に限局した圧痛

が主な症状で、ランニング時やランニング後に痛みが増し、下り坂では特に強く症状があらわれる特徴にあります。

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腸脛靱帯炎の診断は?

臨床症状のほか、誘発テストや画像検査を行い診断します。

医師
それぞれについてご説明します。

臨床症状

問診により、上記で述べた症状を確認し、腸脛靱帯炎を含めた膝疾患を疑います。

誘発テスト

疼痛を誘発するテストを行います。

  • Grasping Test
  • Ober’s Test

などがあります。

画像検査

半月板損傷との鑑別も重要です。

診断には、MRIが有用です。

STIRや脂肪抑制T2強調像の冠状断像において、腸脛靱帯と大腿骨外顆との間にある軟部組織に、境界が不明瞭な信号上昇が確認できます。

症例 30歳代男性 長距離ランニング後に右膝外側の痛みあり。

MRIのSTIRの冠状断像において、腸脛靭帯の大腿骨側直下に浮腫性変化を示唆する異常な高信号を認めています。

腸脛靱帯炎と診断されました。

こちらの異常な高信号の様子を動画でチェックする。

腸脛靱帯炎の治療法は?

基本的に保存療法で改善を待ちます。

医師
保存療法についてご説明します。
  • 局所安静
  • ストレッチ
  • テーピング・サポーター
  • アイシング
  • 薬物療法(鎮痛剤)

オーバートレーニングが原因でもあるため、その使いすぎを避けることが重要です。

大腿筋膜張筋など股関節外側部をストレッチすることも重要で、ランニング等で無理をしないことが予防にもつながります。

参考文献:骨軟部疾患の画像診断 第2版P110・111
参考文献:膝MRI 第2版P212

最後に

  • 腸脛靱帯に局所的な炎症を起こした疾患が腸脛靱帯炎
  • 膝屈伸を伴う、オーバートレーニング(鍛えすぎ・使いすぎ)が原因
  • 長距離ランナーに多い
  • 疼痛や圧痛が主な症状
  • 臨床症状・誘発テスト・画像検査によって診断
  • 保存療法で改善を待つ
  • 安静・使いすぎを避けるのが重要

 

自己診断をせず、医療機関を受診し、正確な診断を元に、医師の指導に従うことが重要です。

我慢して更にオーバートレーニングを続けると、症状の悪化につながります。

症状が悪化するとそれだけ改善も遅れます。

基本的に手術対象とはならないので、この症状悪化を伴うようなオーバートレーニングを控えることが改善への近道となります。

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