手は指の骨の他に、細かな骨がいくつもあり成り立っているのですが、今回は手の骨である手根骨(しゅこんこつ)についてのお話です。
「手根骨ってどんなものなの?」
「細かな骨をどう覚えたらいいの?」
「どんな問題が起こりやすいの?」
など、さまざまな疑問が湧いてきます。そこで今回は
- 手根骨の場所・解剖
- 手根骨の覚え方
- 手根骨に起こりうる問題(病態)
などをイラストや実際のレントゲン画像などを用いて解説したいと思います。
そもそも手根骨とは?
手根骨の読み方は「しゅこんこつ」で、英語表記で「Carpal bones」といいますが、この英語表記を見てもわかるよう「bones」複数形・・・つまり、いくつかある手の根部分(手首)の骨をまとめた呼び方です。
そもそも手というのは、以下のような骨から手関節や手指の関節を構成します。
- 指節骨
- 中手骨
- 手根骨
- 橈骨
- 尺骨
その中で手根骨は、遠位手根列(指側)と近位手根列(腕側)とあり、2列に並んでいます。
それぞれ4つずつの骨からなります。
手根骨の遠位手根列
- 大菱形骨・・・大きく不規則な多面体状
- 小菱形骨・・・小さく不規則な多面体状
- 有頭骨・・・丸い頭
- 有鉤骨・・・掌側に鉤状の突起がある
これら4つの骨があります。
手根骨の近位手根列
- 舟状骨・・・舟(カヌー)に似ている
- 月状骨・・・側面が半月状
- 三角骨
- 豆状骨・・・大豆に似ており、最も小さい手根骨
という4つの骨があります。
ちなみに・・・豆状骨・舟状骨・有鉤骨は、皮下に触れることができます。
手根骨の覚え方を解説
覚えにくい8つの骨・・・語呂合わせで覚える方法があります。
手根骨の場所を語呂合わせで覚える【その1】
「船に乗って月を見れば、三つの豆。
大小頭に鉤かけた。」
- 船に乗って→舟状骨
- 月を見れば→月状骨
- 三つの豆→三角骨・豆状骨
- 大小→大菱形骨・小菱形骨
- 頭に→有頭骨
- 鉤かけた→有鉤骨
近位手根列の親指側から小指側に、そして遠位手根列の親指から小指側へ向けての順で覚えることができます。
無理やりな語呂合わせではあるものの、漢字や並びを順番で覚えることができるでしょう。
手根骨の場所を語呂合わせで覚える【その2】
「父さんの月収は大小有るが、有効に使えよ」
- 大→大菱形骨
- 小→小菱形骨
- 有→有頭骨
- 有効→有鉤骨
- 父→豆状骨
- さん→三角骨
- 月→月状骨
- 収→舟状骨
近位手根列の小指側から親指側へ、そして遠位手根列の親指側から小指側へと円を描くように覚えることができます。
こちらは、順番は近位手根列からですが、覚えやすい語呂合わせでしょう。
手根骨の覚え方
父さんの月収は有効に使う優等生は将来大物!
父→豆状骨
さん→三角骨
月→月状骨
収→舟状骨
有効→有効骨
優等→有頭骨
将→小菱形骨
大→大菱形骨 pic.twitter.com/EnXiOHZ8zy— 柔整国家試験対策 (@JyuseiContents) 2018年1月29日
こちらも近位手根列からですが、漢字を置き換えることで、覚えやすい語呂合わせですね。
手根骨に起こりやすい問題(病態)は?
手根骨に起こりうる病態としては、
- 骨折
- キーンベック病
- 手根管症候群
などがあります。
とくに舟状骨は、皮下に突隆しているため骨折が起こりやすい場所で、転んだ際に背屈位で手をついた時などによく起こります。
またキーンベック病は、月状骨が壊死に陥る状態で、手根管症候群は、手根管が圧迫された状態なためにしびれなどが起こる病態です。
参考文献:
病気がみえる vol.11 運動器・整形外科P128〜131
整形外科疾患ビジュアルブック P20・21
解剖学講義 改定2版P61〜63
第9版 イラスト解剖学P121〜123
最後に
手根骨についてまとめました。
- 手根骨は手首の骨のこと
- 手根骨は、大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨・舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨という8つの骨
- 語呂合わせで覚えると覚えやすい
- 手根骨には骨折・キーンベック病・手根管症候群などが起こる
なかなかそれぞれ8つの骨を単独では覚えにくいものの、繋げて語呂合わせで覚えることで、その漢字やイメージから忘れにくいでしょう。
参考になれば幸いです(*^_^*)