正円孔(せいえんこう)は頭蓋底に認める穴の一つです。

単なる穴ではなく、神経や動脈が走行する重要な場所でもあります。

今回はそんな正円孔(英語では、Foramen rotundum)について、

  • 正円孔とは・場所はどこなのか
  • 何が通るのか
  • 正円孔が臨床的に重要となるのはどんな場合か

といった点について、実際のCT画像も交えながら解説しました。

正円孔とは?場所は?

正円孔とは、中頭蓋底に見られる蝶形骨大翼を貫く穴であり、上眼窩裂のすぐ後方にあり、翼口蓋窩に通じています。

正円孔はMeckel腔と翼口蓋窩を連絡します。

CT画像では、前後方向に認める穴として描出されます。

日本語で書いても難しいので、実際のCT画像を見てみましょう。
医師
医師

症例 30歳代 男性

顔面骨CTの横断像です。

左右に前後に走る孔が正円孔です。

前後に走りますので冠状断像で見ると円形に見えます。

その冠状断像がこちらです。

類円形の穴として正円孔を描出することができます。

正円孔を通るものは?

正円孔には、

  • 三叉神経(第Ⅴ脳神経)の第2枝である上顎神経
  • 正円孔動脈

が通っています。

正円孔動脈は顎動脈の分枝であり、正円孔を通って頭蓋骨傍鞍部の硬膜に分布します1)

上顎神経は顔面の感覚を支配します。

三叉神経の第2枝である上顎神経の支配領域のイラスト

ちなみに三叉神経の第1枝(眼神経)は上眼窩裂、第3枝(下顎神経)は卵円孔を通ります。

 

三叉神経の通る穴
  • 第1枝→上眼窩裂
  • 第2枝→正円孔
  • 第3枝→卵円孔

 

正円孔に起こる問題は?

正円孔には三叉神経の第2枝である上顎神経が通っていますので、腫瘍の神経周囲進展(perineural spread)の通り道となり、翼口蓋窩から正円孔を通じて上咽頭癌や腺様嚢胞癌などの腫瘍が進展することがあります。

この場合、

  • 正円孔の左右差のある拡大
  • 正円孔の骨硬化・骨破壊

などが起こることがありますので正円孔を注意深く観察することが重要となります。

最後に

頭蓋底に認める穴の一つである正円孔についてまとめました。

上眼窩裂や卵円孔などと合わせて覚えておきたい構造物です。

この機会にご理解頂ければ幸いです!

 

参考文献:
1)脳MRI 1.正常解剖 P256
解剖学講義 改定2版P508・515

関連記事はこちら