うっ血と充血(じゅうけつ)、その違いってわかりますか?
どちらも血が溜まっている状態、そうイメージすることが多いと思いますが、それぞれ異なる病態をさします。
また、どうしてそうなるのかという原因もさまざまです。
今回は、このうっ血(英語表記で「Congestion」)と充血(英語表記で「Hyperemia」)の違いについて
- 違い
- 意味
- 原因
- 病態
を解説したいと思います。
うっ血と充血の違いは?
うっ血と充血の違いを理解する前に、まずは正常の動脈と毛細血管、静脈を流れる血液の流れを見てみましょう。
上の図のように、動脈→毛細血管→静脈と血液は流れ、
- 入ってきた動脈血の量=出て行く静脈血の量
となっているため、どこにも血液の滞りはないのが正常です。
一方でうっ血、充血はともに血流が悪くなり滞ってしまう状態をいいますが、違いはズバリ、
- うっ血は、静脈から出る血液が減少することによるうっ滞
- 充血は、動脈から出る血液が増加することによるうっ滞
で、静脈・動脈、減少・増加と、それぞれ違います。
うっ血とは?
局所で毛細血管網の静脈血が増大した状態を、うっ血といいます。
つまり、正常通り、動脈血は毛細血管に入ってくるのに、出て行ける静脈血が少なくなったため、毛細血管内に静脈血が渋滞している状態がうっ血です。
動脈性の充血に対し、うっ血は静脈が関係するため、静脈性充血ということもあります。
見た目的にも、青色症(チアノーゼ)や発赤、腫脹などが見られ、それが続くと浮腫や出血などが起こることもあります。
あれが、うっ血です。
充血とは?
一方で動脈から局所で毛細血管網へと血液が増加している状態を、充血といいます。
つまり、正常通り静脈血は出て行きますが、入ってくる動脈血が多いために、毛細血管に動脈血が渋滞している状態が、充血です。
見た目的には、局所の鮮紅色を示し、組織温が上がったり、拍動などが見られることもあるのです。
またそれぞれ起こる原因も違いますので、次にどうしてうっ血や充血が起こるのか、その原因について解説します。
うっ血や充血の原因は?
うっ血の原因
うっ血は、環流障害によって起こるものですが、
- 心臓の働きが弱った場合
- 局所の締め付け
などによって起こります。
充血の原因
充血は、血流が増加して血管が太くなるために起こるものですが、
- 外部からの刺激
- 感染
- アレルギー
- 疲労
などで起こります。
うっ血や充血 それぞれの病態はどんなものがある?
うっ血が起こる病態
うっ血が起こる原因疾患としては、
- 心不全(うっ血性、急性、慢性)
- うっ血乳頭
- 肺うっ血
- 腎うっ血
- うっ血肝
- 心筋症
などが挙げられます。
充血が起こる病態
一方充血が起こる原因疾患としては
- 結膜炎(アレルギー性結膜炎)
- 咽頭結膜炎(プール熱)
- ぶどう膜炎
- 翼状片
- クローン病
- ベーチェット病
- 川崎病
などがありますが、やはり白目にはっきりとした赤い血管が浮き出る目の病態が一般的にイメージできると思います。
参考文献:第9版 イラスト解剖学P208
最後に
ポイントをまとめます。
- うっ血は、静脈から出る血液が減少することによるうっ滞
- 充血は、動脈から出る血液が増加することによるうっ滞
- うっ血は、環流障害によって起こる
- 充血は、血液が増加して血管が太くなるために起こるが、外部刺激・感染・アレルギー・疲労などが原因となる
ちなみに、血流が減少、一時的に停止する状態を虚血といいます。
虚血といえば、虚血性大腸炎や虚血性心疾患などがありますが、血液供給が滞ることで起こるため、起こった部位によって違った病態となるのです。