「食べているのに、食欲はあるのに体重が減ってしまう・・・」
「ここ半年で10kgも痩せてしまった・・・」
このような体重減少が起こるときは何か病気が隠れている可能性があります。
そこで今回は、
- 体重減少はどれくらいの体重の減少率をいうのか。
- 体重減少を起こす鑑別疾患・原因は何があるのか。
- 体重減少は病院の何科を受診するべきなのか。
- 体重減少がある場合、どんな検査をするのか。
などについてまとめました。
体重減少とは?目安は?
体重減少は、6-12ヶ月の間に4.5kg以上の体重減少もしくは、5%以上の体重減少がある場合とされています1)。
この際重要なのは、その体重減少を本人が意図していないということです。
つまり、ダイエットをしていないのに、しっかり食べているのに体重がこのくらい減った場合を体重減少といいます。
体重減少の原因は?鑑別疾患は?
体重が減る理由は、ダイエットでも同じように
- 消費カロリー>摂取カロリー
となっているからです。当たり前ですね
予期せぬ体重減少もこの関係が成り立っています。
背景に病気が隠れている場合、
- 消化管の病気などがあり、食べても吸収されない→摂取カロリーは少なくなる。
- 癌(がん)が隠れており、癌細胞がカロリーを消費している→消費カロリーが多くなる。
といったことが起こり、予期せぬ体重減少が起こるのです。
では、このような体重減少がある場合、考えられる病気は主に
- 癌(がん)
- 内分泌代謝疾患(甲状腺機能異常、副腎機能不全、糖尿病、副甲状腺機能異常、下垂体疾患など)
- 消化管疾患(消化管潰瘍、慢性膵炎、感染性腸炎、胃腸機能不全など)
- 感染症(結核、膿瘍、AIDSなど)
- 精神疾患(うつ病、摂食障害、認知症など)
- 膠原病
- 口腔内疾患
- 進行した臓器不全(肝硬変、慢性呼吸不全、心不全、腎不全など)
- 薬剤の副作用
- アルコール依存
といったものが考えられます。
体重減少がある場合の癌(がん)の確率は?
なかでも、
- 癌(がん)が見つかることが15-30%
- 癌を除く消化器疾患が見つかることが10-20%
- 精神疾患が見つかることが10-23%
- 原因不明のものが最大25%
と上位を占めています2)3)。
調べたけども、結局体重減少の原因がわからないということも、4人に1人程度と結構な割合であることがわかります。
体重減少の原因を突き止めるための症状は?
どんな症状があれば、体重減少の原因が癌(がん)であることが考えられるのでしょうか?
癌の可能性がある症状としては、
- 微熱
- 盗汗(寝汗)
- 倦怠感
- 血便・黒色便
などが挙げられます。
ただしこれらは、癌に特異的というわけではまったくありませんので、あくまで参考程度です。
体重減少は病院の何科を受診するべき?
体重減少がある場合、病院で受診するべき科は、
- 内科
- 総合内科
- 消化器内科
- 血液免疫内科
などが挙げられます。
体重減少を引き起こす原因疾患はさまざまな科におよびますので、どれが正解ということはないのですが、まずは内科、総合内科を受診して、専門科を紹介してもらうというのがよいでしょう。
逆に、たとえば自分には胃潰瘍があるなどと、思い当たる節がある場合は、それに該当する科を受診するのがベストです。
体重減少の検査は何をする?
体重減少の原因を突き止めるために行われるのは、まずは念入りな問診です。
- いつからどれくらいの体重減少が起こっているのか
- 体重減少以外の症状には何があるのか
- 既往歴
- 拒食や過食の有無
- 嘔吐の有無
などが聞かれます。
その上で、検査としては、必要に応じて
- 採血検査
- 便潜血検査
- 上部消化管内視鏡(胃カメラ)
- 下部消化管内視鏡(大腸カメラ)
- 腹部エコー検査
- 胸腹部CT
などが行われます。
選択される検査としては、何が疑われるかで異なるのです。
何をやっても原因が見つからない場合は、一通り検査をすることもあります。
最後に
体重減少についてまとめました。
体重減少には、さまざまな原因がありますが、原因がわからないこともしばしばあります。
その場合、1-3ヶ月後に再診となりますが、それでも結局わからない人が4人に1人程度もいるのです。
とはいえ、残りの3人は原因があり、それらを治療することで回復の可能性がありますので、体重減少が見られた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
参考文献:
1)Mayo Clin Proc 76(9):923-929,2001
2)Arch Intern Med 146(1):186-187,1986
3)J Am Geriatr Soc 39(5):497-500,1991