外耳と中耳との境界となる(耳の奥にある)鼓膜(こまく)は、外からの音を振動として捉えて内耳へと伝え流という大事な聴覚機能をもつ場所です。

「鼓膜が破れた!」

と言うことがありますよね。

この鼓膜を損傷してしまうことを、鼓膜穿孔(こまくせんこう)とか鼓膜損傷(こまくそんしょう)といいますが、どのような症状だと損傷をきたしている可能性があるのでしょう?

また、治療法も気になりますよね。

 

そこで今回は、鼓膜が破れた!状態である、鼓膜穿孔(鼓膜損傷)について

  • 原因
  • 症状
  • 診断
  • 治療法

を図(イラスト)や実際のCT画像を用いてわかりやすく解説したいと思います。

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鼓膜穿孔(鼓膜損傷)とは?

鼓膜を何らかの原因で傷ついてしまった状態を鼓膜穿孔(鼓膜損傷)といいます。

要するに、鼓膜に穴が空いている状態です。

鼓膜が穿孔している様子の耳鏡所見を見てみましょう。

症例 40歳代女性 右耳漏

右の鼓膜の耳鏡所見です。

鼓膜に大きな穴が開いているのがわかります。

鼓膜穿孔(損傷)があることがわかります。

医師
CTで鼓膜の穿孔を認めることがありますので、実際の画像でもチェックしてみましょう。

鼓膜穿孔(鼓膜損傷)のCT画像

まずは鼓膜が穿孔していない正常のCT画像で鼓膜を確認してみましょう。

頭部CTで骨を見やすくした骨条件と呼ばれるものです。
冠状断像と言って前からみたCTと考えてください。

症例 70歳代男性

このように鼓膜は中耳と外耳の境界にあり、連続していることがわかります。

この方の右側のCT画像は次のようになります。

左と違って鼓膜に連続性が認められません。

いわゆる「鼓膜が破れた」状態である、鼓膜穿孔(鼓膜損傷)の所見です。

また鼓膜は肥厚しており中耳炎の合併が疑われます。

左右合わせて見てみると次のようになります。

  • 鼓膜が穿孔している右側
  • 鼓膜が保たれている左側
並べてみるとよくわかりますね。

この鼓膜穿孔の画像を動画で見る。

関連記事)急性外耳道炎とは?症状や原因、治療法のまとめ

では、実際どのようなことが原因で鼓膜を損傷することが多いのでしょう?

鼓膜穿孔(鼓膜損傷)の原因は?

医師
鼓膜穿孔(鼓膜損傷)の原因は、直接損傷間接損傷があります。

直接損傷の原因

先ほど異物を混入して、鼓膜を損傷することがあり、

  • 耳かき
  • マッチ
  • 体温計

などが原因となります。

子供の方が損傷しやすい理由

耳の穴入り口から鼓膜までの空洞を外耳といい、外耳は大人で約3.6cmほどの長さがあり、その奥の鼓膜へと届きます。

この外耳はまっすぐでなく、湾曲していますが、4歳頃まではほぼ穴からまっすぐ鼓膜へと続いています。

ですので、4歳以下の子は謝って異物を耳に挿入すると、鼓膜まで届きやすいということです。

長くて細いものを耳に混入することで、起こることが多いものの、4歳以下の子供の場合は大人よりも外耳が短いため、意外な長さのものでも損傷することがあります。

このような原因を、直接損傷(鼓膜を直接傷つける原因)といいますが、外耳道損傷をも合併することが多くあります。

間接損傷の原因

また、これ以外でも間接損傷として

  • 平手打ち
  • 爆発音

など・・・外部からの衝撃から、鼓膜を損傷することがあります。

また、その他では中耳炎から鼓膜損傷に至ることもあります。

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耳を突いたから、鼓膜を損傷してしまったのではないか?

などと、心配になりますが、どのような症状で鼓膜穿孔(鼓膜損傷)とわかるのでしょうか?

鼓膜穿孔(鼓膜損傷)の症状は?

損傷の度合いによって、症状は様々ですが

  • 難聴
  • 耳鳴り
  • 耳漏
  • 出血

などが代表的ですが、内耳まで影響が出ると

  • めまい
  • 吐き気

などの症状が現れることもあります。

 こういう原因や症状があったとして、耳鼻科に行くと、どのようにして鼓膜損傷と診断されるのでしょう?

鼓膜損傷の診断は?

耳鏡にて、鼓膜の状態を確認します

直接損傷の場合、穿孔の形や大きさは様々ですが、間接損傷の場合、紡錘形や半円形に穿孔が確認できます。

また、中耳炎から穿孔をきたしている場合は、細菌検査を行い細菌を特定します。

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どのような治療をすることになるのでしょう?

鼓膜損傷の治療法は?

損傷度合いによって、治療法が異なります。

穿孔が軽度の場合は、保存療法を選択します。

保存療法

耳漏があれば、分泌物を吸引し、鼓室の洗浄を行います。

また、細菌が原因の中耳炎で穿孔をきたしている場合は、抗生物質の内服や点耳を必要とします。

穿孔は、この保存療法で自然にふさがることもありますが、中にはふさがらないこともあります。

ふさがるがどうかは、穿孔をきたした位置や大きさによって異なり、ふさがらない場合は手術療法が検討されるのです。

手術療法

鼓膜のみに穿孔がある場合、鼓膜形成術が行われますが、鼓膜穿孔に加えて内耳まで影響が出ている場合、鼓室形成術が選択されます。

参考文献:
100%耳鼻咽喉科 国試マニュアル 改訂第4版P68
まとめてみた 耳鼻咽喉科P16
STEP SERIES 耳鼻咽喉科 第3版P4・5
耳鼻咽喉科疾患 ビジュアルブックP66

最後に

鼓膜損傷について、ポイントをまとめます。

  • 鼓膜損傷は、鼓膜に穿孔をきたしている状態
  • 鼓膜損傷の原因は、直接損傷と間接損傷がある
  • 損傷の度合いによって、症状は異なる
  • 耳鏡にて、鼓膜の状態を確認し診断する
  • 穿孔がふさがるがどうかは、穿孔をきたした位置や大きさによって異なる
  • 経過観察でふさがらない場合は、手術を検討する
  • 鼓膜のみに穿孔がある場合、鼓膜形成術
  • 鼓膜穿孔に加えて内耳まで影響が出ている場合、鼓室形成術

 

直接損傷で多い耳かきなどで鼓膜を損傷したと思っても、中には外耳の損傷のみで鼓膜には問題のないこともあります。

そのため、出血=鼓膜損傷ではありませんが、確認のため耳鼻科で診察を受けることをオススメします。

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