腕が痺れ力が入らない状態となった肘内障などと診断された際、治療として「手を回内(かいない)もしくは、回外(かいがい)して」などと言われることがあります。

しかし、聞きなれない回内や回外という言葉にクエスチョンマークが浮かぶ方も少なくないのではないでしょうか?

また、回内・回外はテニス技術を説明する際にも用いられる言葉なので、腕のこと・・・というのはわかりますね。

 

そこで今回は、回内・回外について、どういうものなのか、動きを解説したいと思います。

回内とは?

回内は、腕を内側に回すことを意味しています。

図で説明すると、肘を曲げ親指が上にある位置から、手のひらが下に来るよう内側に倒すよう回した状態ですね。

回内

読み方は「かいない」といい、英語表記では「Pronatio」です。

以下の筋が収縮するために生じる動きが回内となります。
医師
医師

  • 円回内筋(読み方は「えんかいないきん」、英語表記で「pronator teres muscle」)
  • 方形回内筋(読み方は「ほうけいかいなんきん」、英語表記で「pronator quadratus muscle」)
  • 橈側手根屈筋(読み方は「とうそくしゅこんくっきん」、英語表記で「flexor carpi radialis muscle」)

回内では、橈骨と尺骨が交差します。

回内

これは橈骨頭が回旋し、その動きに伴い下橈尺関節で橈骨の遠位端が尺骨遠位端の周りを前に交差するよう回転して尺骨の内方に移動するためです。

 

また、足でいうと親指を下にして足底を外側に向ける動きを回内といいます。

このとき、ショパール関節(横足根関節)の動きが主体となるのです。

 

回外とは?

先ほどとは逆に、腕を外側に回すことを回外といいます。

図で説明すると、腕を曲げた状態で親指を上にし、手のひらを上に向けるよう外側にひっくり返すよう回した動きですね。

回外

読み方は「かいがい」で、英語表記では「Supinatio」です。

この回外は、以下の筋が収縮することによって生じる動きとなります。
医師
医師

  • 回外筋(読み方は「かいがいきん」、英語表記で「Supinator muscle」)
  • 上腕二頭筋(読み方は「じょうわんにとうきん」、英語表記で「Biceps」)
  • 腕橈骨筋(読み方は「わんとうこつきん」、英語表記で「Brachioradialis」)

肘関節の回外

回外の場合、橈骨と尺骨は平行なままです。

 

また、足でいうと回内とは逆で、小指を底にした状態で内側に向ける動きが回外といいます。

 

 

参考文献:
病気がみえる vol.11 運動器・整形外科P119
解剖学講義 改定2版P72
第9版 イラスト解剖学P120

最後に

回内・回外について、ポイントをまとめます。
医師
医師

  • 腕を内側に回す動きを、回内という
  • 腕を外側に回す動きを、回外という
  • 回内は、円回内筋・方形回内筋・橈側手根屈筋などの収縮が関係する
  • 回外は、回外筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋などの収縮が関係する
  • 回内は、尺骨と橈骨が交差するが、回外は平行なまま

 

これらの動きは、整形外科領域では重要な意味を持ちますので、覚えておいて損はないでしょう。

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