でも、いきなりいわれても、どこなんだろうってピンとこない方も多いですよね。
そこで今回は、肩甲骨(読み方は「けんこうこつ」英語表記で「Scapula」)について
- 場所
- 病気
- 痛みが出る場所
など、気になることをまとめました。
図や実際のCT画像とともにわかりやすく解説していますので、参考にしてください。
肩甲骨とはどこにある?場所を解説
肩甲骨はズバリ、背中側にある肩の骨で、左右に1つずつあります。
上のように肩甲骨は、胸郭(胸骨や肋骨が形成)の外側〜後側に解剖学的に位置しています。
健診などで撮影される胸部レントゲン写真(胸部XP)にも実は肩甲骨は下のように写っています。
また、肩甲骨は、かなり変わった形をしている骨であり、シャベルのような形(逆三角形の扁平な骨)をしているため、ギリシャ語で掘るという意味の「スカプトー」に由来し、英語表記で「scapula」といいます。
日本では「貝殻骨」とも呼ばれています1)
また、肩甲骨の前側には、鎖骨があり、肩鎖関節(けんさかんせつ)と呼ばれる関節を形成しています。
この鎖骨と肩甲骨を合わせて上肢帯といい、自由に動かせる自由上肢(上腕・前腕・手)を体幹(胸郭)につなぐ役割もしているのです。
肩甲骨の解剖は?
逆三角形の扁平な形と申しましたが、上縁・内側縁・外側縁という3縁と、それらが合わさる上角・下角・外側角の3角、それに加え前面・後面が区別できます。
それぞれの部位の解剖学的な場所は、
- 内側縁は脊柱に対してほぼ平行で、第2肋骨から第7肋骨までにわたる
- 下角は、第7胸椎の棘突起の高さ(上腕を外転させると肩甲骨も一緒に動く)
- 肩甲棘は、内側端が第3胸椎の棘突起の高さ(外側に向かって触ると肩峰まで達する)
- 肩甲棘は、外側で前方に向かって曲がり、突出(突出部を肩峰、曲がる部分を肩峰角という)
- 鳥口突起の先端は、鎖骨下窩で鎖骨の外側1/3部のやや下方深くに触れることができる位置
となります。
肩甲骨に起こる病気は?
そんな肩甲骨に起こりうる病気としては、
- 肩甲骨骨折
- 肩甲骨高位症(シュプレンゲル変形)
- 翼状肩甲骨症
などがあります。
ちなみに、この肩甲骨は大きな骨なものの、単独で骨折を生じることは稀で、上肢や肋骨などの骨折を伴うことが多くあるのです。
症例 40歳代男性 交通事故
肩のCTの骨条件の横断像(輪切り)です。
左肩甲骨に2カ所骨折線を認めており、骨が転位しているのがわかります。
3DCT再構成画像です。
肩甲骨を左後ろから見ていると考えてください。
左肩甲骨の複数の場所で骨折線を認めており、骨が転位している様子がよくわかります。
この症例では鎖骨骨折も合併していました。
左肩甲骨骨折、鎖骨骨折と診断されました。
肩甲骨の病気で痛みが出る場所は?
背中の上部、問題のある側が痛みます。
ただし、痛みが波及し、胸や肩まで痛むことも多くあるのです。
また肩甲骨の場所が痛むからといって、肩甲骨の問題とも限らず、痛みが響いてそこに症状が出るということもありますので、検査をして痛みの原因を断定した方がいいでしょう。
参考文献:
1)骨単 骨編 P64
病気がみえる vol.11 運動器・整形外科P100〜109
整形外科疾患ビジュアルブック P17
全部見えるスーパービジュアル整形外科疾患 P39・231
解剖学講義 改定2版P55
第9版 イラスト解剖学P98〜100
最後に
ポイントをまとめます。
- 肩甲骨は、背中側にある肩の骨
- 鎖骨とともに自由に動かせる自由上肢(上腕・前腕・手)を体幹(胸郭)につなぐ役割を果たしている
- 肩甲骨に病変がある場合、上背部が痛むことが多い
肩甲骨のコリが原因で、肩周りの動きが悪くなり、肩こりや頭痛にもつながることが多々あります。
普段から、この肩甲骨をほぐすようなストレッチ(肩甲骨を意識して動かす)をしておくと、肩甲骨周辺の筋肉をやわらげることもできるでしょう。
参考になれば幸いです(*^_^*)