食べ物が通る道を「食道(しょくどう)」(英語表記でesophagus)といいますが、この食道の位置をしっかり答えることができますか?
そう・・・意外と食道の位置をきちんと理解するのは難しいのです。
そこで今回は、食道の位置について
- 食道の場所を図と画像で解説!
- 食道の長さ
- 食道にできる病気
- 食道の病気で痛みが出る場合
などを図(イラスト)や実際のCTの画像、さらには動画を用いて解説していきたいと思います。
食道の場所を図で解説!
食道は、咽頭から下方につづき、胃までの部分のことをいいます。
食道は上下方向において
- 第6頸椎の高さ(輪状軟骨後縁)で、咽頭から続いて始まり
- 第11胸椎の高さにある、食道胃接合部で終わっています。
また、食道は前後方向において
- 気管の後ろ側に存在する
- 椎体の前側に存在する
という特徴があります。
症例 50歳代女性 食道憩室の精査
バリウム検査(食道透視)を横から撮影したものです。
ちょっと見えにくいかもしれませんが、輪状軟骨レベルから気管の後ろにあるのが食道です。
(なおC7レベルで食道には食道憩室(Zenker 憩室)があります)
症例 20歳代男性
胸骨があるレベルでの胸部造影CT画像の横断像です。
CTの横断像(輪切り)を見れば気管の後ろに食道があるのが一目瞭然です。
また食道の後ろには背骨である胸椎があります。
CT画像における食道の位置、場所、気管や肝臓、心臓などとの位置関係などを動画解説しました。
このように、食道は、気管の後ろ側を下行して、横隔膜を貫き、胃へといたっています。
また、食道と気管の間には反回神経が走っており、食道の両サイドには総頸動脈・内頸静脈・迷走神経が走っています。
食道の解剖学的分類
より詳しくみると上のように、食道は
- 頸部食道
- 胸部食道
- 腹部食道
に分けられます。
胸部食道はさらに3つに分類され、
- 胸部上部食道:気管分岐部下縁まで
- 胸部中部食道:気管分岐部下縁から食道胃接合部までを2等分した上半分
- 胸部下部食道:2等分した下半分
と定義されています。
食道の生理的狭窄とは?
この食道には、3ヶ所の生理的狭窄部位があります。
- 食道入口部
- 気管支部・大動脈交叉部
- 食道裂孔部
食道の長さは?
食道の始まりから終わりまでの長さは、約25cmです。
切歯部からみると、
- 15cmの部分から始まり
- 18cmの部分で胸骨に位置し
- 24cmの部分に、気管分岐部・大動脈交叉部があり
- 38cmの部分に、食道裂孔部が
- 40cmの部分に、噴門がある
というようになっています。
食道に起こる病気とは?
などがあります。
食道には3つの狭窄部位があると申しましたが、その狭窄部は異物が詰まりやすい部位でもあり、食道がんの好発部位ともなるのです。
食道に痛みが出ることもある?
もちろん、食道炎や裂孔等、食道に痛みが出ることもあります。
その際に、
- 前胸部痛
- 心窩部痛
などを伴います。
しかし、食道の場所を見てもわかるように、一概にこれが食道の痛みとはいえず、食道の痛みと区別ができない他の臓器に(肺や心臓等)問題があることもあるのです。
そのため、自己判断をするのではなく、検査を行い原因を突き止めることが大切になります。
参考文献:
病気がみえる vol.1:消化器 P42
消化器疾患ビジュアルブック P3
解剖学講義P283・284
イラスト解剖学P279〜281
最後に
食道について、ポイントをまとめます。
- 食道は、咽頭から下方につづき、胃までの部分
- 食道は、咽頭から続いて始まり、食道胃接合部で終わる
- 食道は、気管の後ろ側を下行して、横隔膜を貫き、胃へといたっている
- 食道は、食道入口部、気管支部・大動脈交叉部、食道裂孔部という生理的狭窄部位がある
- 食道の長さは、約25cm
- 食道の狭窄部位に食道がんが好発
- 食道の病気で痛みを伴うこともあるが、食道は縦に長く、他の臓器が原因なこともあるため、詳しい検査で原因を探る
いかがでしたでしょうか?
自分の体に手を当てると、咽頭部から、胸の下あたりから胃があるため、それよりも上方であると意識できると思います。