普段通り生活していたはずなのに、急に耳の中が痛いと感じることありませんか?
「わー、なんだか耳がおかしい」と耳を引っ張ると、余計痛みが強くなったり・・・
このような場合、もしかしたら、急性外耳道炎(きゅうせいがいじどうえん)かも知れません。
今回は、そんな急性外耳道炎(「きゅうせいがいじどうえん」英語表記で「Acute external otitis」)について詳しく
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
を図(イラスト)や実際のCT画像を用いて、解説したいと思います。
急性外耳道炎とは?
耳の入り口から鼓膜までの空洞になっている部分を外耳道といいますが、その外耳道にある耳垢腺・皮脂腺・毛嚢への感染により炎症を伴うものを「外耳道炎」といい、急に起こるため急性外耳道炎と呼ばれます。
その外耳道炎は、びまん性外耳道炎(外耳道全体に炎症を伴う)と限局性外耳道炎(耳癤)とに分類されます。
急性外耳道炎の症状は?
- 耳痛
- 耳介牽引痛
- 外耳道の腫脹
- 発赤
- 耳漏
などがありますが、発熱や耳介周辺のリンパ節腫脹を伴うこともあります。
耳の痛みから、ついつい耳を引っ張ってしまう(牽引)してしまうこともありますが、そうすることで余計痛くなるのが急性外耳道炎の特徴でもあります。
まだ痛みをうまく主張できない乳児の場合、衣服の脱ぎ着をする際、耳が引っ張られて泣き叫ぶことも多くあります。
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急性外耳道炎の原因は?
黄色ブドウ球菌や真菌(アスペルギルス属・カンジダ属など)が起因菌となりますが、黄色ブドウ球菌が最多です。
また、
- 耳かき
- 入浴
- 水泳
- 薬剤
など高温多湿の環境で好発します。
そのほか、糖尿病・免疫不全状態・ステロイド長期使用している患者の場合起こりやすいので注意が必要です。
急性外耳道炎の診断は?
- 耳の中や耳の周囲であるリンパ節や耳下腺などを観察
- 細菌検査
などで診断できます。
他の疾患(外耳道真菌症・外耳道真珠腫・急性中耳炎・乳様突起炎)との鑑別や、起因菌を特定するための細菌検査は重要です。
また、上記の誘因で説明しました通り、薬剤も原因となるため、長期的に使用している薬剤の有無を問診することも必要になります。
症例 30歳代男性 数日前耳かきをした後から左耳の痛みあり。左耳閉の出現あり。
耳鏡検査で左の外耳道の著明な肥厚があり、鼓膜の観察できず。
CT検査が行われました。
CT検査の結果、右の正常な外耳道と比較して、左外耳道は壁の肥厚があり、狭窄を認めています。
左急性外耳道炎と診断され、抗生物質が投与されました。
1週間後の耳鏡検査で腫脹は軽減し、症状も軽快しました。
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急性外耳道炎の治療は?
急性外耳道炎の治療は大きく
- 保存的治療
- 外科的治療
に分けられます。
保存的治療
局所処置として、綿棒で外耳道を綺麗に拭き、分泌物がある場合は吸引除去をします。
自分では、誘因となってしまう耳かきや耳を触ることをやめなければなりません。
その他、必要に応じて抗菌薬含有軟膏やステロイド含有軟膏を塗ったり、抗菌薬含有点耳薬を点耳するため、薬が処方されます。
また、真菌が原因となっている場合、抗真菌薬含有クリームなどを用います。
外科的治療
しかし、痛みが強い・自潰しそうにない耳癤に対して、軟骨膜を傷つけないよう注意しながら切開排膿を行うこともあります。
そのため、切開排膿まではせず、綿球のタンポンを用いて圧迫し、自潰させることもありますが、圧迫させている間は痛みが続きます。
また、上記以外の方法として、感受性をもつ抗菌薬または消炎鎮痛剤の全身投与を行うこともあります。
参考文献:
まとめてみた 耳鼻咽喉科P190
STEP SERIES 耳鼻咽喉科 第3版P51
耳鼻咽喉科疾患 ビジュアルブックP50・51
最後に
急性外耳道炎のポイントをまとめます。
- 外耳道にある耳垢腺・皮脂腺・毛嚢への感染により炎症を伴うもの
- 起因菌として、黄色ブドウ球菌によるものが最多
- 耳かき・入浴・水泳・薬剤などが誘因となる
- 耳痛・耳介牽引痛・外耳道の腫脹・発赤・耳漏を伴う
- 外耳道の観察や、起因菌の特定、他の疾患との鑑別が診断に重要
- 外用薬や点耳薬、切開排膿、薬物全身投与などで治療する
急性外耳道の症状を乳児の場合、うまく伝えることができませんが、うちの子の場合
- いつもより泣く
- 耳を頻繁に触る
- 着替えの際に泣き叫ぶ
- 夜泣きがひどい
など、いつもはなかった様子に「何かおかしい」と感じ、小児科を受診。
熱もなかったため、耳が原因じゃないかと耳鼻科に回され、急性外耳炎に気づきましたよ。