脾臓(ひぞう)という臓器の位置はどこなのでしょうか?
脾臓ってどこにあるんだにゃ?
肺や心臓などに比べると、耳にすることの少ない部位ではありますが、脾臓には造血機能があり、人間の体において重要な働きをしています。
「そんな脾臓は体のどこにあるのでしょうか?」
また、「脾臓の病気の際にはどこに痛みを生じるのでしょうか?」
今回は、そんな脾臓(英語表記で「spleen」)の
- 場所
- 病気
- 病気で痛みが出る場所
などを、図と実際のCT画像、さらには動画による解説を加えて、わかりやすくまとめてみました。
脾臓の場所は?
脾臓は、体の表面からは触れませんが、解剖学的な位置(場所)としては
- 腹腔の左上の隅っこ
- 胃(底)の左後側
- 左腎臓と横隔膜との間
- 第9〜11肋骨の間
にあります。
肋骨の下に隠れて、脾臓の上には横隔膜が、前には胃が、左は腎臓と接しています。
肋骨の下に隠れており肺とも近いため、腹部エコー検査で見つけにくいこともあるのです。
言葉で見てもわかりにくいので、腹部CT画像を用いて、動画解説しました。
脾臓の位置をCT画像でチェック!
まずはこちらの動画で脾臓の位置、CTでの解剖をご確認ください。
動画で出てきた脾臓の場所を示す画像を見てみましょう。
症例 20歳代 男性 スクリーニング(腹部造影CT)
まずは横隔膜のすぐ下です。
右側(向かって左側)に大きな肝臓が見えます。
左側(向かって右側)の後ろ側に脾臓が見えていますね。
その前右側には胃(胃底部)が位置しています。
先ほどよりも、少し下に移動したスライスです。
脾臓がより大きく見えてきました。
前側に膵臓(すいぞう)があります。
さらに下側に移動したスライスです。
脾臓の下縁に近いところで腎臓が内側に見えてきました。
ここまでは横断像(輪切り)でしたが、前から見た図である冠状断像のCT画像でも脾臓の位置を確認してみましょう。
症例 50歳代 男性 スクリーニング(腹部単純CT)
横隔膜により、胸部(胸腔)と腹部(腹膜腔)に分けられますが、脾臓は腹部(腹膜腔)の左隅っこにあるという様子がこの冠状断像ではよくわかりますね。
また、脾臓は胃の外側に位置し、脾臓の下には腎臓があることもよくわかります。
脾臓の正常の大きさは?
- 長さは約10cm
- 幅は約7cm
- 厚さは約3cm
- 重さは男性で平均145g・女性で125g
ほどですが、個人差も大きくあります。
15歳前後でピークの大きさになり、その後徐々に減少して70歳で15歳前後のピーク時の約半分程となります。
脾臓の病気とは?
では、脾臓に起こる可能性のある病気はどんなものがあるかというと、
- 脾腫(脾臓が腫れる(肥大する)こと)
- 脾血腫
- 脾嚢胞
- 脾腫瘍(リンパ管腫、血管腫、過誤腫、炎症性偽腫瘍、SANT、脾悪性リンパ腫、脾転移など)
- 脾膿瘍
- 脾損傷
などがあります。
脾腫は何らかの原因で脾臓が腫れ上がる病気です。
脾血腫とは脾臓の中で出血が起こって、その血液が脾臓に溜まってしまった病気です。
また、他の臓器同様、脾臓に腫瘍もできます。
脾臓に感染が起こるとそこで膿瘍形成を起こすことがあり脾膿瘍と呼ばれます。
また、外傷が加わると脾臓が損傷を受けて破裂することがあり脾損傷と呼ばれるのです。
症例 60歳代 男性
造影CTで被膜下に分葉状の低吸収域あり。
脾臓のリンパ管腫を疑う所見です。
脾臓の病気で痛みが出る場所は?
脾腫などで脾臓が腫れ上がると、
- 左上腹部(脇腹)や背部
に痛みを伴うことがあり、これらの痛みを「脾臓痛」とも呼びます。
しかし、場所として説明した通り、他の臓器などに隠れている部位なため、症状になかなか気づきにくいことも多くあります。
脾臓の病気は痛みの他、腹部不快感(膨満感)・発熱・貧血・浮腫・食欲低下・リンパの腫れ・腹水などを伴うこともありますので、これらの症状にも注意が必要です。
参考文献:
解剖学講義P383
イラスト解剖学(コピーできる)P241
最後に
脾臓の場所について、ポイントをまとめます。
- 腹腔の左上隅・胃(底)の左後側・左腎臓と横隔膜との間・第9〜11肋骨の間にある
- 脾臓の病気になると、左上腹部(脇腹)や背部が痛むことが多い
背部に痛みを感じる病気は他にもあるため、背部痛だから脾臓の問題とも言い切れませんが、症状がある際は一度検査をして原因を突き止めることをオススメします。