脳にはさまざまな部位があり、人間の生命維持や知能に重要な働きをしていますが、その中でも「歯状核」というのをご存知ですか?
そこで今回は、歯状核(読み方は「しじょうかく」英語表記で「Dentate nucleus」)について
- どんなもの
- 機能
- 場所
- 起こりうる病気
などを、画像とともに解説していきたいと思います。
歯状核とは?
歯状核とは、小脳の中にある神経繊維で、小脳核のひとつです。
この小脳核は歯状核の他にも
- 室頂核(fastigial nucleus)
- 球状核(globose nucleus)
- 栓状核(emboliform nucleus)
の合わせて4つがあります。
覚え方としてはそれぞれの英語表記の頭文字をとって、
「FGED」・・・(F)atty・(G)irls・(E)at・(D)oughnuts
「太った女の子がドーナツを食べている」様子を思い浮かべてみるといいでしょう1)。
そして、歯状核は小脳オリーブとも呼ばれ、延髄にあるオリーブ核と似たような形状をしています。
歯状核の機能は?
半球(橋小脳)から、プルキンエ細胞の繊維を受け取っています。
そしてこの小脳では、感覚や運動などの情報が出入りするところで、運動の練習や熟練などの働きに関係しています。
歯状核の場所は?
歯状核は小脳外側核ともいい、その名の通り、小脳にあります。
小脳半球皮質からの繊維が終止し、この核からの繊維が上小脳脚を通って赤核や視床にいたっているのです2)。
脳を縦に切った断面で見ると、室頂核・球状核・栓状核・歯状核というように下から上に並び、歯状核は4つの小脳核で一番上に位置しているのです。
室頂核・球状核・栓状核・歯状核という順で内側から外側に向かってあり、歯状核が一番外側に位置しています。
歯状核に起こりうる問題は?
歯状核に起こりうる病態としては、最も多いのが高血圧性の脳内出血です。
症例 60歳代女性
頭部単純CTの横断像(輪切り)です。
左の小脳歯状核に高吸収な(白い)血腫を認めています。
高血圧性の小脳出血と診断されました。
そのほか、
- ファール病(大脳基底核、小脳歯状核に石灰化を来す)
- 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
などが起こることがあります。
なお、この小脳歯状核は病的ではない生理的な石灰化も起こります。
症例 70歳代男性
両側の小脳歯状核に石灰化を認めています。
生理的石灰化です。
参考文献:
1)第9版 イラスト解剖学P592〜595
2)脳単 脳神経編P29・31
病気がみえる vol.7:脳・神経 P42
最後に
ポイントをまとめます。
- 歯状核は、小脳の中にある神経繊維で、小脳核のひとつ
- オリーブ核と似たような形で、小脳オリーブとも呼ばれる
- 半球(橋小脳)から、プルキンエ細胞の繊維を受け取っている
- 橋小脳からの出力繊維として働いている
- 歯状核は小脳外側核ともいう
- 歯状核は小脳にある
- 歯状核では、石灰化や脳出血が起こりやすい
歯状核は、小脳オリーブや小脳外側核とも呼ばれることがわかりました。
小脳核4つ合わせて覚えておくといいでしょう。