人間ドックや健康診断などで、メタボ(メタボリックシンドローム)と診断される方、意外と多いですよね?

厚生労働省の発表でも、40〜74歳では、男性は2人に1人・女性は5人に1人がメタボが強く疑われる(もしくは予備軍)とされています1)

医師
しかし、メタボは中高年だけの問題ではありません。

国民健康・栄養調査(平成26年情報)によると、運動習慣のない人

  • 20〜64歳では81.1%
  • 65歳以上では61.1%

と、若くても運動をしていない方が多いということがわかります2)

 

そのため、人間ドックや健康診断の事後指導として、食事指導だけでなく、運動指導(身体活動指導)も重要とされています。

また、この運動指導はメタボの改善だけでなく、ロコモティブシンドローム認知症の予防にもなるのです。

 

ロコモティブシンドロームとは?
ロコモティブシンドロームとは、運動器症候群ともいい、骨・関節・筋肉などが衰えたことで日常生活(立つ・座る・歩行)にも障害をきたすもの

 

 

運動指導って大事なんですね!
医師
そうなんです。

そこで今回は、メタボのための運動指導について

  • 運動指導の意味
  • 改善に向けた運動指導(身体活動指導)
  • 65歳以上の高齢者向けの運動指導(身体活動指導)

などを、お話ししていきたいと思います。

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メタボの問題と運動指導の意味は?

メタボは内臓脂肪量の過多が問題で、それを改善することにより生活習慣病を予防するという意味があります。

そもそもメタボの人には、どういう問題があるのでしょう?
  • 食事や間食などによるエネルギー摂取が多い
  • 運動や身体活動によるエネルギー消費が少ない

ということが問題です。

つまり、メタボの人が運動指導を受ける意味として

摂取しすぎているエネルギーを運動指導によって消費を見直し、エネルギーバランスをよくする

ということがあります。

エネルギーバランスがよくなると、食べても運動で消費されるリズムができているため、体脂肪も減少して健康的な肉体となるのです。

メタボ改善のための運動指導とは?

まずは単に運動をすすめるのではなく、個人のライフスタイル・運動歴から、それぞれに合った運動を決めることが重要です。

とくに、運動はなく食事だけの減量では、栄養不足にも陥りがちとなり、筋肉量まで低下しかねません。

そのため、食事制限だけでなくバランスのよい食生活は保ちつつ運動をすることで、内臓脂肪を多く燃やし基礎代謝も上げることが、健康的なメタボ改善方法となるのです。

 

では実際、どういう方法があるのでしょう?

まずは、目標を設定し、自分がどれくらい運動が足りていないのか、減らしたいエネルギー量を知ることです。

そして、どんな運動をどれくらいすればいいのかという問題がありますよね?

また、必ず定期的に自分の状況を見直すことも必要です。

医師

  • 目標設定
  • 運動・身体活動の基準
  • 経過観察と見直し

について、わけて解説しますね。

目標設定

まず、現在の身長・腹囲(体重)・BMIから、目標とする数字を決め、その現在と目標までの差を出します。

それを急激な運動で落としていくのではなく、逆に過激な減量とならないように注意しつつ、目標達成のために減らしたい1日のエネルギー量を割り出すことが大切です。

この1日の目標エネルギー量は

(目標との差の腹囲cm(体重kg))×7,000kcal÷目標達成時期の目安(ヶ月)÷30日=1日の消費目標エネルギー(kcal)

という計算方式で割り出されます。

7,000kcalって、どこから出てきた数字ですか?
医師
7,000kcalというのは・・・

体脂肪1kgあたりに対するエネルギーの蓄積がだいたいこの7,000kcalといわれているため、1日の消費目標エネルギーを知るために用いられる数字です3)

運動・身体活動の基準

医師
人間ドック(健康診断)の結果である血糖・血圧・脂質を元にした、運動・身体活動の基準となるものがあります。

あくまでも健康診断(血糖・血圧・糖質)の結果が基準範囲内である場合に限りますが(生活習慣病患者でない場合に限る)、

18歳〜64歳の場合

  • 歩行またはそれと同等以上の身体活動を毎日60分
  • 息が弾み汗をかく程度の運動を毎日60分
  • 性別年代別に全身持久力運動を約3分間継続可能4)

しかし、65歳以上の高齢者の場合は、また異なります。

医師
65歳以上の高齢者の場合については、また後ほど説明しますね。
身体活動とは?

この身体活動指導は、運動と生活活動に分けられます。

  • 運動は、スポーツ(体力を維持・向上するために計画的に実施する継続性のある活動)のこと
  • 生活活動は、日常生活においての労働・家事・通勤・通学などのこと

 

経過観察と見直し

目に見えて減少していると安心感はありますが、1年間続けて体重が変わっていなければ、このままの状態でさらに運動を続ける必要があります。

しかし、増加していた場合は、今の運動指導では問題があるということです。

医師
増加していた場合、以下の計算式で、今取りすぎているエネルギー量を割り出しましょう。

増加した体重(kg)×7,000(kcal)÷365日=今取りすぎているエネルギー量(kcal)

 

自分のやってきたことが結果としてわかると、このままでいいのか、もっと頑張らないといけないのか、という基準がわかります。

もちろん体重が減っているといいのですが、増えている場合は先が見えなくなりますからね。

これを知ることが、気持ちの切り替えにもつながるでしょう。

関連記事) メタボリックシンドロームの予防と治療は?

【65歳以上】メタボのための運動指導とオススメ運動法

高齢者の場合、ただ単に減量を行うのではなく、

  • 運動器の機能を維持
  • ロコモティブシンドロームなどの予防

を行うことが重要です。

そのためには、無理な運動をして体を痛めることのないよう、

無理のない姿勢(横になったまま・座ったままなど)で、強度を問わず身体活動を毎日40分以上おこなう

ことが基準となっています。

では実際、どのような運動がよいのでしょう?

高齢者が運動をすると痛みを多く感じる場所が、膝や腰です。

つまり、その部分に負担をかけることなく、無理のない運動をすることが重要で、

ストレッチングや軽い体操をした後に、水中運動をする

ことをオススメします。

水中運動では、ただ水中を歩くだけでも(水中歩行)水の浮力が足腰の負担を軽減しつつ、適度な運動効果はありますし、アクアエクササイズなどもいいでしょう。

そして、これらを継続することがメタボ改善へとつながります。

メタボリックシンドロームの基準については、こちらをご覧ください。→メタボリックシンドロームの診断基準は?何cm?

参考文献:
人間ドック健診の実際P271〜274
Q&Aでわかる 食事・運動指導のエビデンス50P132・133
1)メタボリックシンドローム該当者・予備軍の状況(厚生労働省)
2)人間ドック健診の実際P271
3)Q&Aでわかる 食事・運動指導のエビデンスP015
4)健康づくりのための身体活動基準2013(厚生労働省)

最後に

今回の記事について、ポイントをまとめます。

  • メタボは内臓脂肪量の過多が問題で、それを改善することにより生活習慣病を予防するという意味がある
  • バランスのよい食生活は保ちつつ運動をし、内臓脂肪を多く燃やし基礎代謝も上げることが重要
  • 過激な減量とならないように注意しつつ、目標達成のために減らしたい1日のエネルギー量を割り出す
  • 1日の消費エネルギーを目標に、運動や生活活動を行う
  • 65歳以上の高齢者の場合は、運動器の機能を維持し、ロコモティブシンドロームなどを予防することが重要
  • 高齢者では、開始前に軽めのストレッチをしてから行う水中運動がオススメ

 

目標数値を厳しめに設定してしまうと、それに伴うストレスで運動自体が苦痛となってしまいます。

毎日続けることを目標とし、無理のない目標設定と、頑張りすぎないことが重要でしょう。

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