健康診断や人間ドックでは、それぞれの検査項目に対して、このような判定結果が返ってきます。
医師
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  • A・・・異常なし
  • B・・・軽度異常
  • C・・・要経過観察・要再検査・生活指導
  • D・・・要医療(D1:要治療・D2:要精査)
  • E・・・治療中

この中でも、D判定に相当する要治療や要精査とは、どんなときに出るものなのか?

また、今後どうすればいいのか?

気になりますよね。

そこで今回は、健康診断のD判定(要治療・要精査)について、わかりやすく解説したいと思います。

要治療・要精査とは?どんなとき?

要治療・要精査ともにD判定であり、要医療に該当します。

基本的に、健康診断や人間ドック施設ではできない検査や治療を必要とするため、別の医療機関を受診することになります。(施設にもよります)

その検査や治療が必要とは、どんな場合なのですか?

  • がんの疑いがある場合
  • 生活習慣病に関わる場合

などが代表的ですが、それ以外でもD判定となることがあります。

では、実際それらの疑いがある場合について、解説していきます。
医師
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「がん」の疑いがある場合

とくに「がん」の疑いがある場合など、要精査・要治療の判定が出ているのに、放置していたら後々大問題となることがあります。

必ず医療機関を受診することが重要です。

がんの疑い・可能性があり、健康診断や人間ドックの検査では診断しにくく、より精度の高い検査が必要になるものに

  • 甲状腺結節 (頚部エコー検査や、生検が必要なことがある)
  • 胆嚢ポリープ (MRI検査やエコー検査での精査や経過観察が必要なことがある)
  • 肝血管腫(造影剤を用いたCT検査やMRI検査が必要なことがある)

などがあります。

また、D判定となっているのに放置すると怖いものは、生活習慣病もあります。
医師
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生活習慣病に関わる場合

生活習慣病に関わる

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症

などで要精査・要治療(D判定)となった場合です。

では、実際にどれくらいの数値でD判定となるのか、説明します。
医師
医師

血圧測定で要治療・要精査となる場合

収縮期血圧が160mmHg以上、もしくは 拡張期血圧100mmHg以上が、D判定に値します。

糖尿病検査で要治療・要精査となる場合

空腹時血糖値が126mg/dl以上、かつHbA1cが6.5以上の場合、さらに詳しく調べ、治療が必要な数値となります。

脂質異常症で要治療・要精査となる場合
  • 総コレステロール 139mg/dl以下 もしくは 260mg/dl以上
  • HDLコレステロール 29mg/dl以下 もしくは 120mg/dl以上
  • LDLコレステロール   59mg/dl以下 もしくは 180mg/dl以上
  • 中性脂肪 29mg/dl以下 もしくは 400mg/dl以上

1)より引用

これらの場合、自覚症状のないケースが多く、「がん」が疑われる場合と比較して、受診に結びつきにくいこともあります。

しかし、こちらもきちんと専門科を受診して、精密検査や必要に応じて治療を受ける必要があります。

そのほかどんなときに要治療・要精査となる?

心拍数、視力、聴力、血圧、尿酸といった基本項目でD判定となる数値は以下の通りです。

正常値とD判定となる数値を分けて説明します。
医師
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項目 正常値 D判定
心拍数 45〜85/分 31/分以下・101/分以上
視力 1.0 0.6未満
聴力 1,000Hz→30dB・4,000Hz→30dB 1,000Hz・4,000Hzとも40dB以上
血圧 収縮期129以下・拡張期84以下 収縮期160以上・拡張期100以上
尿酸 2.1-7.0mg/dL以下 9.0mg/dL以上

1)より引用・一部改変

 

そのほか、代表的な以下の検査でどのようなときに要治療・要精査となるのかを見ていきましょう。
医師
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  • 肝機能(肝臓の検査)
  • 貧血
  • 白血球
  • 尿蛋白
  • 尿糖
  • 便潜血検査(大腸ガンの検査)

それぞれ以下のようになります。

肝機能検査で要治療・要精査となる場合

肝臓の機能を見る上で必須とされているのが以下の3つの検査です。

項目 正常値 D判定
AST(GOT) (IU/L) 0-30 51以上
ALT(GPT) (IU/L) 0-30 51以上
γ-GT(γ-GTP) (IU/L) 0-50 101以上

1)より引用・一部改変

このほかにも、ALP、総ビリルビン、直接ビリルビン、アルブミン、総コレステロール、総蛋白、ZTT、血小板といった検査でより詳しく肝臓の機能を評価していきます。

それぞれの検査項目が、肝臓のどういった機能や状態を見ているのかは以下の通りです。

検討項目 検査項目
肝細胞の障害(炎症、壊死) AST、ALT
肝臓での合成機能 アルブミン、総コレステロール
肝臓での解毒・排泄機能 γ-GTP、ALP、総ビリルビン
慢性炎症の程度、進行度 蛋白、ZTT、血小板数

2)より引用・一部改変

 

貧血など血算(血球算定)や尿検査、検便で要治療・要精査となる場合
項目 正常値 D判定
赤血球(103/μL) 400-539 359以下600以上
 360-469 329以下550以上
白血球数(103/μL) 3.2-8.5 2.5以下9.0以上
血小板数(104/μL) 13.0-34.9 9.9以下40.0以上
尿蛋白  陰性(-)  ++以上
ヘマクリット(%) 38.5-48.9 35.3以下51.0以上
35.5-43.9 32.3以下48.0以上
尿糖  陰性(-)  陽性(+)
便潜血検査  陰性(-)  陽性(+)

1)より引用

貧血が関与するところは、赤血球数と、ヘマトクリットです。

要治療・要精査の判定の場合、どうすればいい?

検査を受けた施設によっては、紹介状を書いてくれますので、その紹介状を持って専門科を受診します。
(紹介状を書いてくれるかどうかは、検査を受けた施設にお問い合わせください。)

その場合、可能な限り早く受診することが重要です。

少なくとも3ヵ月以内には受診して、専門の先生の診察を受けましょう。

先延ばしにすると、がんなどの問題があった場合、進行してしまい、早期発見のために検査を行った意味がなくなります。

参考サイト・文献:
1)人間ドック学会 判定区分表(2017年4月1日改定)
2)人間ドック健診の実際 文英堂(人間ドック学会)P160
人間ドック健診の実際 P12-13

最後に

要治療・要精査について、ポイントをまとめます。

  • 要治療・要精査ともに要医療のD判定
  • 健康診断や人間ドック施設ではできない検査や治療を必要とするため、別の医療機関を受診することになる
  • がんの疑いがある場合・生活習慣病に関わる場合にD判定となる
  • 3カ月以内に受診する必要がある

 

がんなどの疑いでなければ、軽視されることがありますが、放置していいわけではもちろんなく、要医療です。

必ずなぜD判定となったのか、原因を突き止める必要があり、それこそ健康診断や人間ドックを受けた意味となります。

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