男性だけにある生殖器の1つである前立腺。
その前立腺の病気といったら、前立腺がんや前立腺肥大を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
しかし、前立腺の病気はがんや前立腺肥大以外にもあります。
では、その前立腺は一体どこにあり、病気などの問題で、痛むとしたらどこに痛みが出るのでしょう?
今回は、前立腺について
- 場所
- 病気
- 痛みが起こる部位
などを図や実際のCT画像とともにわかりやすく解説したいと思います。
前立腺の場所は?
前立腺は、膀胱の真下〜やや後にあり、尿道を取り囲み、尿生殖隔膜に接するように位置しています。
また、上の横から見た図のように直腸の直前にあるため、直腸診によって触診(実際に壁越しに触って確認すること)が可能で、栗ほどの大きさ(約15g)です。
前立腺は、外腺と内腺からなり、精液10〜30%を占める漿液性分泌液を作り分泌します。
さらに、この前立腺から分泌される液には、抗菌作用があるといわれますが、詳細な機能は未だわかっていません。
イラストよりも実際のCT画像で場所をチェックしたほうがわかりやすいかもしれませんね。
前立腺の場所をCT画像でチェック!
CT画像の輪切り(横断像)で前立腺の場所をチェックしていきましょう。
上から下にかけて画像を掲載していきますね。
腹部造影CTの横断像です。
まずは膀胱が見えるレベルです。
膀胱の後ろには精嚢(せいのう)が見えています。
このレベルではまだ前立腺は見えていません。
少し下のレベルで前立腺が見えてきます。
前立腺の後ろ側(背側)にあるのが直腸です。
直腸から前立腺の形を触れる直腸診ができることがこの位置関係を見るとわかりますね。
さらに下のレベルです。
膀胱のサイズが小さくなってきて、前立腺のサイズが大きくなってきました。
恥骨や大腿骨との位置関係もよくわかりますね。
さらに下のレベルでは、膀胱がほぼ見えなくなりました。
前立腺が膀胱の真下〜やや後ろ側にあることがこれまでの画像からわかりますね。
前立腺の病気と痛みが出る場所は?
前立腺の病気は、
- 前立腺がん
- 前立腺肥大
- 前立腺炎
などがありますが、通常前立腺がんは進行しない限り無症状であることが多いです。
また、前立腺肥大も尿が出にくいといった排尿症状や排尿後に残尿感が残るといった排尿後症状などは見られますが、「痛み」として症状が出ることは稀です。
ですので、前立腺に痛みとして症状が出るとすれば、前立腺炎が最も頻度として多いということになります。
そして、前立腺炎の場合、どの場所に痛みが出るかというと、
会陰部・下腹部・太ももに痛みを感じることが多くあります。
前立腺炎以外では、前立腺がんが骨に転移すると、腰痛などの転移骨部の疼痛を伴うことがあります。
参考文献:
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器P15・255・272〜275
解剖学講義 改定2版P432
第4版 イラスト解剖学P399・404
最後に
前立腺の位置・場所、前立腺の病気(主に前立腺炎)の際に痛みが出る場所についてまとめました。
今回の要点は、
- 前立腺は、膀胱の真下にあり、尿道を取り囲み、尿生殖隔膜に接するように位置している
- 直腸の直前にあるため、直腸診にによって触診可能
- 前立腺の病気には前立腺がん・前立腺炎・前立腺肥大などがある
- 痛みを伴うことが多いのは前立腺炎でこの場合会陰部が痛む
- がんが転移すると、腰痛など転移骨部の疼痛を伴うことがある
です。
頻度の多い前立腺肥大や前立腺がんでは痛みを伴わないのが一般的です。
参考になれば幸いです。