人間ドックのオプションで眼科ドックというものがありますが、
「眼科なんて視力の良し悪しがわかるくらいでしょ?」
などと甘く考えている方、いらっしゃいませんか?
日常生活を送る上で、重要な役割を果たす目の検査は、失明予防の点からも、重要な意義があります。
そこで今回は、眼科ドックについて
- わかる病気
- 検査項目
- 再検査
などを解説したいと思います。
眼科ドックとは?わかる病気や受けるべき年齢は?
眼科ドックは、眼科専門医により、目の異常(疾患)を早期に発見し、失明を予防するために行う検査です。
眼科ドックでわかる病気
眼科ドックでわかる病気には、
- 緑内障
- 白内障
- 糖尿病網膜症
- 網膜色素変性
- 加齢黄斑変性 など
があります。
視覚の障害となる原因1)4)として
- 1位 緑内障 21%
- 2位 糖尿病網膜症 15.6%
- 3位 網膜色素変性 12%
- 4位 加齢黄斑変性 9.5%
とこれらの疾患が軒並み上位を占めており、眼科ドックが視覚の障害となる病気の早期発見・早期治療に重要な役割を果たすことがわかります。
眼科ドックを受けるべき年齢
40歳以上の中高齢者の検診が勧められています2)。
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眼科ドックの検査項目は?
- 視力検査
- 眼圧検査
- 眼底検査
などを行うことになります。
視力は、現在の見え方を確認する上では重要ですが、進行例でなければ多くの疾患の検出することは困難です。
また眼圧検査では、数値が高い緑内障の検出には有用なものの、正常眼圧緑内障(大多数を占める)は発見できないことから、簡易視野検査(オプション)も勧められています2)。
その他、眼底3次元画像解析検査といって、眼底写真では見逃される異常を検出することが可能な検査を導入する施設も増加しています。
それぞれの検査について詳しくは、こちらをご覧下さい。→眼科検診とは?内容や診断方法について解説
眼科ドックで再検査となった場合は?
眼科ドックが対象とするほとんどの眼科慢性疾患は、初期には症状が現れにくく、進行して初めて違和感の出ることがほとんどです。
とくに、白内障(加齢性変化)以外の多くの疾患が、一度障害が出ると元の状態に戻るのは不可能ですので、日常生活において不自由でない状態であっても定期的に検査を受けて、早期診断・治療が重要となります。
ですので、眼科ドックで異常を指摘された場合は、症状がなくても眼科を受診することが重要となります。
緑内障の場合
約9割の患者が自覚症状のない3)ことから、気づかずに日常生活を送っている疾患です。
しかし、緑内障は早期治療を行うと生涯安心して暮らせる可能性も高い疾患なため、速やかに眼科を受診することが勧められます。
糖尿病網膜症の場合
糖尿病というと、腎症・神経障害・網膜症が三大合併症といわれています。
この糖尿病網膜症を放置すると、
- 網膜光凝固(レーザー治療)
- 硝子体手術
などの治療が必要となる症例も多くあり、重篤な視野障害を生じる危険性もある2)のです。
そのため、再検査・異常判定となった場合、内科主治医に相談のもと、速やかに眼科を受診する必要があります。
網膜色素変性の場合
進行性の求心性視野障害を示す疾患です。
確定診断となるには、蛍光眼底検査や網膜電図などの検査が必要で、これらの検査機器の整った専門病院を受診する必要があります2)。
加齢黄斑変性の場合
初期症状としては、物が歪んで見えるなどがありますが、進行するにつれて中心部視野障害が悪化します。
治療としては、
- 血管内皮細胞増殖因子(VEGF)阻害薬の硝子体内注射
- IPS細胞の移植
なども進んでいる2)ため、これらの治療も可能な専門病院の受診をオススメします。
参考文献:
1)日本眼科学会雑誌118;:495-501,2014
2)人間ドック健診の実際P205〜208
3)Ophthalmology 111:1641-1648,2004
4)日本眼科学会
最後に
眼科ドックについて、ポイントをまとめます。
- 眼科ドックは、目の異常(疾患)を早期に発見するために行う検査
- 緑内障・白内障・糖尿病網膜症・網膜色素変性・加齢黄斑変性など、早期発見・治療が重要な疾患を発見できる
- 眼科ドックでは、視力検査・眼圧検査・眼底検査が行われる
- 加齢性変化である白内障以外の眼科疾患では、一度悪くなると元に戻すことが不可能なため、早期発見・治療が求められる
眼科検診のみならば、行きつけの眼科でも受けることができますが、定期的に受けている人間ドックなどの健康診断にオプションで組み込んでおくと、忘れずに定期検診として受けることができるでしょう。