脳の最高中枢ともいわれる前頭前野(ぜんとうぜんや)。
この前頭前野は、どんな機能があるのか、ご存知ですか?
最高中枢といわれるのには、それなりの重要な機能があり、ここの機能が低下するとどんな影響が出てしまうのかなど、気になりますよね。
そこで今回は、前頭前野(読み方は「ぜんとうぜんや」英語表記で「prefrontal area」)について
- 場所
- 機能
- 低下した場合の影響
などを、解説したいと思います。
そもそも前頭前野とは?場所はどこ?
大脳皮質前頭葉の前方を広く占有している連合野が、前頭前野です。
前頭前野って、前頭連合野と同じなの?
前頭前野のことを、前頭連合野とも呼びます。
こちらのイラストで場所を確認ください。
このイラストを見ても、前頭葉の前部分が前頭前野ということがわかりますよね。
前頭前野は、人間の場合、大脳の約30%を占めますが、猿では約10%・犬では約7%程度です。1)
つまり人間に近づくほどこの前頭前野の割合は大きくなります。
そのため前頭前野はヒトが人であるために必要であり、「人間らしい」活動を行うために重要なのです。
前頭前野の機能は?
前頭葉自体が、一次運動野や運動前野などの運動に関わる領域が含まれているといわれますが、前頭前野では精神活動が主な働きとなります。
ピンと来ないわ。
- 思考
- 判断
- 注意
- 企画
- 創造
- 計画
- 自己抑制
- コミュニケーション
などが、他の動物にはない人間独自の精神活動です。
つまり、知能や情緒ですね。
もちろん他の動物にもこれらの活動は行えますが、より簡単なものしか行うことができません。
より深く、より難しい精神活動を行えるのが人間独自の精神活動といえます。
上記のイラストを見てもわかるように、人が人らしく生きるためには、この前頭前野の機能が非常に重要だということがわかります。
前頭前野の機能が低下したらどうなる?
前頭前野が脳血管障害や外傷など何らかの原因で障害を受け、機能が低下することを、
高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)
といいます。
前頭前野の機能が低下した高次脳機能障害に陥ると
- 意欲の低下
- 注意障害
- 脱抑制
- 易怒性(怒りやすくなる)
などの症状が現れることがあります。
勉強をやろうとしたまではいいものの、そこからやる気が出ず、集中もできない・・・、そして遊びという誘惑に勝てず脱線してしまったり。
急に怒ったと思ったら、後悔し自己嫌悪に陥ったり、情緒不安定で今までの人格ではなくなった状態も、前頭前野機能の低下で起こる症状です。
ただ、これらの症状は周囲がなかなか理解することができないため、本人も異常に気づかず、病気の発見が遅れることもあります。
参考文献:
1)2)病気がみえる vol.7:脳・神経 P16・20・21・22
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P40・41
解剖学講義 改定2版P737
脳単 語源から覚える解剖学英単語集【脳・神経編】P6
最後に
今回は前頭前野についてまとめました。
- 大脳皮質前頭葉の前方を広く占有している連合野を、前頭前野という
- 精神活動(知能や情緒)が前頭前野の機能
- 人が人らしく生きるためには、この前頭前野の機能が非常に重要
- 前頭前野の機能が低下すると、意欲の低下・注意障害・脱抑制・易怒性などの症状があらわれる
前頭前野の機能は、人間らしさにおいて重要な働きをしているということがわかりましたね。
この前頭前野は、20歳前後で成熟します。
つまり、小さな子がじっとできなかったり、駄々をこねるのは、この前頭前野がまだ未熟なせいもあるのです。2)