眼窩と頭蓋内を結ぶ構造の1つとして視神経管(ししんけいかん)と言う管があります。
視神経管にはものを見るのに非常に重要な役割を果たす視神経が走行しています。
今回は視神経管(英語でoptic canal)について、
- 視神経管とは・場所はどこなのか
- 視神経管を通るもの
- 視神経管に起こる問題・視神経管骨折
について実際のCT画像を用いてまとめました。
視神経管とは?場所は?
視神経管とは、眼球の入っている眼窩(眼窩先端部)と頭蓋内(中頭蓋窩)を交通する穴の1つです。
視神経管のある場所は、蝶形骨小翼と呼ばれる部位で、平均9mmの長さを有します1)。
視神経管と上眼窩裂を合わせた部位を眼窩尖部(がんかせんぶ)と言います。
頭部CTの骨条件の横断像(輪切り)です。
上のように斜め方向に左右の視神経管を確認することができます。
頭部CTの骨条件の冠状断像です。
蝶形骨洞の上に両側に視神経管を認めています。
視神経管を通るものは?
この視神経管を通るものは、
- 第2脳神経(視神経)および周囲くも膜下腔と硬膜
- 眼動脈
- 交感神経
です。
視神経管の硬膜は眼窩骨膜と結合し、視神経を固定する役割があります。
眼動脈は内頸動脈の枝です。
症例 30歳代 男性 スクリーニング
MRIのT2強調像の横断像です。
眼球に連続する視神経の様子がよくわかります。
この視神経が走行する部分の一部に視神経管があります。
視神経管に起こる問題は?
視神経管に起こる問題としては、
- 外傷による視神経管骨折・視神経損傷
- 眼窩先端症候群
があります。
外傷による視神経管骨折・視神経損傷
頭部外傷により、視神経管の骨折・視神経の損傷を来すことがあります。
とくに視神経管上壁は骨が薄く骨折を来しやすい2)とされます。
視神経損傷により、視力低下、視野欠損という症状が起こります。
診断は基本的に頭部CT画像の骨条件で視神経に骨折線を確認します。
外傷による視神経損傷の標準的治療は確立されておらず、
- 経過観察
- ステロイド投与を主とする薬物療法
- 視神経管開放術を主とする外科的治療
の3つもしくはその組み合わせが行われます。
ただし、視力障害が進行する場合は手術の適応となります3)。
症例 40歳代男性 交通事故
頭部CTの骨条件の横断像です。
頬骨や眼窩内側壁などに多数の骨折線(黄色→)を認めています。
右の視神経管にも骨折を認めており、骨片を右視神経管に認めています。
保存的に加療されました。
最後に
視神経管についてまとめました。
- 視神経管は眼窩と頭蓋内を交通する穴の1つである。
- 視神経管には視神経、眼動脈、交感神経が走行する。
- 視神経管に起こる問題としては、視神経管骨折・眼窩先端症候群がある。
と言う点が大きなポイントとなります。
視力や視野にかかわる重要な視神経が通る場所です。
ぜひこの機会に覚えておきましょう。
参考になれば幸いですm(_ _)m
参考文献:
1)脳MRI1,正常解剖 P253
2)すぐ役立つ救急のCT、MRI P95
3)すぐ役立つ救急のCT、MRI P60