尿検査で尿に血液が混じっているかどうかを調べる尿潜血という項目があり、±(プラスマイナス)+(プラス)−(マイナス)などと検査結果が返ってきます。
±(プラスマイナス)というと、プラスでもマイナスでもなくてどういうことなんだろうと思ってしまいがちですね。
そこで今回は、尿潜血の±(プラスマイナス)を中心にプラスやマイナスが
- 何を意味しているのか?
- どんな原因が考えらるか?
- 女性の場合の注意点
について解説していきたいと思います。
尿潜血の±(プラスマイナス)、+(プラス)、-(マイナス)とは?
検査結果として、+・−・±などと表記されますが、以下のような意味を持ちます。
- 陰性・・・(−)
- 弱陽性・・・(±:プラスマイナス)
- 陽性・・・(+)
- 強陽性・・・(2+、3+)
±(プラスマイナス)は弱陽性であるということです。
ちなみに、潜血の基準値(正常値)は陰性(−)のみとなります。
つまりそれ以外の、±(プラスマイナス)や+、2+以上は、なんらかの原因があるために陽性となり、再検査が必要となります1)。
この+の横にある数字を見ると、1〜3と表記されていますが、数字が増えるほど状態が悪い(多く血尿が出ている)ということになります。
尿潜血の±(プラスマイナス)、+(プラス)の原因は?
±(プラスマイナス)〜1+であれば、腎臓・尿路など泌尿器系からの出血や、系統的疾患(特定部位ではなく全身やある系統が侵される疾患)の可能性があります。
そして、それ以上となる2+(2プラス)・3+(3プラス)では、赤血球が尿沈渣中に存在しない場合、ヘモグロビン尿症やミオグロビン尿症の可能性も考えて鑑別検査をする必要があります。
- 腎腫瘍
- 多発性嚢胞腎
- 腎結核
- 腎結石
- 腎外傷
- 腎梗塞
- 尿管炎
- 尿管腫瘍
- 尿管結石
- 膀胱炎
- 膀胱結石
- 膀胱腫瘍
- 前立腺肥大(男性の場合)
- 前立腺炎(男性の場合)
- 前立腺結石(男性の場合)
- 前立腺腫瘍(男性の場合)
- 尿道炎
- 尿道結石
- 尿道腫瘍
などが挙げられますが、これら以外にも腎臓や泌尿器以外の癌などによっても出血することがあります2)。
女性の場合の注意点
女性の場合は月経や不正出血などによって尿潜血が見られる(偽陽性となる)こともあり、一時的なものか病的なものかを調べるには、再検査や尿沈渣というさらなる検査が必要です。
参考文献:
1)2)最新 尿検査 その知識と病態の考え方 第2版P68〜71
今日の臨床検査 2011ー2012 P34
最新 検査のすべてP21
よくわかる検査数値の基本としくみP54・56
新版 検査と数値を知る辞典P182
検査結果なんでも早わかり事典-健診・人間ドックから精密検査の結果までP158
最後に
尿潜血の結果であるプラスマイナス、プラスについて、ポイントをまとめます。
- 陰性は−・弱陽性は±(プラスマイナス)・陽性は+・強陽性は2+以上となる
- ±〜1+であれば、腎臓・尿路・泌尿器系からの出血や、系統的疾患(特定部位ではなく全身やある系統が侵される疾患)の可能性がある
- 1度の検査で治療となるわけではなく、どうして起こっているのか原因を追求する必要がある
病気以外でも尿潜血が見られることはあるため、尿潜血陽性=病気ではなく、まずはこの結果をもとに何度か検査を重ねることが重要です。