奇静脈(読み方は「きじょうみゃく」英語ではazygos vein)と呼ばれる静脈があります。

名前が少し変わっていますが、この奇静脈はどこに位置し、どこを走行しているのでしょうか?

 

今回は奇静脈について

  • そもそも奇静脈とは
  • 奇静脈はどこを走行するのか
  • 奇静脈に流入する静脈にはなにがあるか
  • 実際の奇静脈のCT画像

について、図とCT画像を用いてまとめました。

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奇静脈とは?

奇静脈を説明した図・イラスト

上の図のようにたくさんの肋間静脈が(椎体の前)で合流します。

その際に縦方向に吻合して走行する静脈を奇静脈系(azygos system of  vein)といいます。

奇静脈系は

  • 奇静脈
  • 副半奇静脈
  • 半奇静脈

の3つの静脈からなり、右側を奇静脈と呼び、左側は上の方を副半奇静脈、下の方を半奇静脈と呼びます。

上の図のように、左側だけは人体の発生の途中で胸椎7〜8の間は退化してしまいます。

そこで、左右非対称的な静脈(血管)ができあがります。

奇静脈の走行は?

奇静脈を説明した図・イラスト

奇静脈は右上行腰静脈から始まります。

その後、横隔膜の大動脈裂孔を通って胸腔に入り、第4胸椎レベルで奇静脈弓(azygos arch)と呼ばれる文字通り弓のように曲がって、上大静脈へ連結します。

一方、半奇静脈は奇静脈と同様に左の上行腰静脈から始まり、上行しますが、第8胸椎の高さで奇静脈に合流します。

その上は副半奇静脈と呼ばれます。

奇静脈へ流入する静脈は?

奇静脈や半奇静脈に注がれる静脈としては、

  • 肋間静脈
  • 食道静脈
  • 気管支静脈
  • 心膜静脈
  • 縦隔静脈
  • 上横隔静脈

などがあります。

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奇静脈の役割は?

奇静脈系は、「下大静脈と上大静脈の間の連絡路」としての役割があります。

下大静脈から上大静脈へも血液は流れていますが、その側副路として奇静脈系は働いています。

つまり、何らかの原因で下大静脈が閉塞などを起こしてしまった場合、奇静脈系から血流は心臓に還ることができます。

なおこの場合、奇静脈への流入量が増加し、奇静脈の拡張をきたします。

奇静脈のCT画像における解剖は?

では次に、奇静脈の走行を実際のCT画像を用いて見ていきましょう。

症例 30歳代男性 スクリーニング

腹部造影CTの横断像(輪切り)です。

心臓が見えるレベルです。

椎体のほぼ前方に奇静脈が走行している様子がわかります。

椎体の逆側には副半奇静脈が走行しています。

先ほどの画像よりも少し上側(頭側)のスライスです。

大動脈や肺動脈が見えます。

気管分岐部のすぐ後ろを奇静脈が走行していることがわかります。

先ほどの画像よりもさらに少し上側(頭側)のスライスです。

奇静脈が奇静脈弓を経て、上大静脈へ連続(連結)している様子がわかりますね。

この奇静脈弓から、今度は逆に下の方向に奇静脈を追った動画がこちら。

最後に

奇静脈について、解剖、走行を中心にまとめました。

普段この奇静脈は問題となることはすくないのですが、慢性肝障害などでこの奇静脈が拡張することがあります。

肝硬変などで門脈圧亢進が起こると、側副血行路としてできた食道静脈瘤は奇静脈を経て下大静脈に流入するためです。

また下大静脈が何らかの原因で狭窄や閉塞をすると同様にこの奇静脈を側副血行路として使い、拡張をするのです。

奇静脈の解剖、どのように走行しているのかを今一度ご確認ください。

参考になれば幸いです。

*記事内のイラストは解剖学講義改訂2版P316の図5-76を参考に作図。

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