身体にメスを入れるのが嫌とか、

家族に迷惑をかけたくないとか、

仕事や家事を休めないとか、

さまざまな理由で、手術しないことを選択する人が多いはずです。

手術しなかった場合は、痛みや痺れは減るのか?

不安に思うことが多いでしょう・・・

理学療法士
私は、理学療法士として腰椎椎間板ヘルニアで手術しないことを選択し、リハビリに取り組んだケースを担当する機会が多くありました。

リハビリを行って痛みや痺れが緩和したというケースも経験しています。

今回は、

  • 手術しない場合のリハビリの内容ついて
  • どれくらいの期間、リハビリを行えば効果が出るのかについて
  • 効果が出ない場合、手術をする・しないの目安について

お話していきますね。

腰椎椎間板ヘルニアで手術をしない場合のリハビリは?

どんなリハビリを行っていくのか、詳しく知りたいです!
  • 安静(内服治療やコルセット装着などを含む)
  • 物理療法(温熱や牽引)
  • 運動療法(ストレッチや筋力強化)
  • 生活指導

この4つが代表的なものとして挙げられます。

理学療法士
ひとつずつ説明していきますね!

安静

安静にする期間を設けることが必要!

3日間ほど、仕事や家事を休むことも大切ですよ。

湿布を貼ったり、痛み止めの薬を飲んだりして痛みを我慢しないこと。

コルセットを装着することで、腰周りに圧をかけて腰椎を安定させることも痛みの緩和につながります。

理学療法士
寝ているとき以外は、コルセットを装着しましょう!

 

物理療法

理学療法士
物理的なエネルギー(温熱や牽引・電気治療など)を使って痛みを緩和していくことですよ。
温熱

患部を温めることです。

筋肉のコリをほぐすことや、収縮した血管を緩めて血液の循環をよくすることを目的としますよ。

 

牽引

 

痛みがひどいときは行えませんが、痛みが慢性的な場合は用いてもよいとされています。

 

運動療法

理学療法士
安静期間を経て、少し動けるようになったら運動療法を始めていきましょう!
ストレッチ

腰椎椎間板ヘルニアを患っている人に特徴的なものとして姿勢の変化があり、猫背や背骨が反り返っていたりすることで、腰椎のS字カーブが崩れることが原因として考えられています。

理学療法士
腰痛のために運動ができず筋肉が硬くなってしまうんです。

硬くなってしまった筋肉の血流は停滞してしまい、疲労物質が蓄積し痛みがひどくなってしまうというわけですね。

そうなると、さらに身体が動かしづらくなるとういう悪循環が生まれます!!!

どこの筋肉をストレッチしていけばいいですか?

 

  • 腰・体幹のストレッチ
  • 股関節のストレッチ
  • 太ももの前と後ろのストレッチ
  • ふくらはぎのストレッチ

これらの筋肉のストレッチが重要!

腰椎椎間板ヘルニアは、腰から足にかけて症状が出ますよね。

腰の筋肉が硬くなり、骨盤と股関節の動きが制限されスムーズな動きができなくなります。

下肢の筋肉は全部がつながりを持っているから、一箇所が悪くなると全体のバランスが崩れる・・・

だから、下肢全体のストレッチをすることが必要不可欠なんですよ!

 

マッケンジー体操

この体操は、腰痛の原因である圧迫されている椎間板の内部にある髄核の位置を、元の位置に戻すように働きかけるストレッチです。

この体操は、一人ひとりの症状によって細かく注意が必要なので、認定資格を有する理学療法士の指導を受けてくださいね。1)

筋力強化

背骨は、筋力によって正しい姿勢を維持することができます。

適度な筋力を保っていないと背骨を正しい位置で保持することができなくなり、椎間板に負担をかけてしまうことになりますね。

腰椎椎間板ヘルニアの筋力強化で重要なポイント!

インナーマッスルの強化です。

インナーマッスルは、腰を安定させるためのコルセットの役割をはたしています。

 

そのほかにも・・・

  • 腹筋の強化
  • 殿部の強化
  • 太ももの前面後面の強化
  • 足首の強化

これらを強化することで、脊椎にかかる負担を軽減し痛みの緩和へつなげましょう。

 

筋力強化のポイント
  • 息を止めない
  • 収縮している筋肉に意識を向ける
  • ひとつひとつの運動をゆっくり行う

 

生活指導

理学療法士
私たち理学療法士は、姿勢に重点をおき生活指導をしていきます。

生活の中でいろいろな姿勢を保ちますし、姿勢の変化も多く行います。

不良姿勢が続くと、腰椎へ負担がかかり痛みを引き起こしてしまいますね。

姿勢の工夫で、痛みの緩和が出来るんです!

  • 立つ姿勢
  • 座る姿勢
  • しゃがみこむ姿勢
  • 寝る姿勢
  • 起き上がるコツ
  • 腹式呼吸

これらを変えていくことが大切ですよ。

立つ姿勢のポイント

  • 身体が反りすぎていないか
  • 猫背になっていないか
  • 顎を引きすぎていないか
  • 胸を張りすぎていないか
  • がに股で立ってないか
  • 重心が左右均等にかかっているか
座る姿勢のポイント

  • 椅子深くまで腰掛けているか
  • 足を投げ出していないか
  • 椅子の高さは自分に合っているか
  • 柔らかすぎる椅子やソファーではないか
  • 座りっぱなしではないか

 

理学療法士
車の運転時も注意が必要ですね。
長時間の運転は避け、休憩をとってくださいね。
しゃがみこむ姿勢のポイント

  • 中腰になっていないか
  • 膝を十分に曲げこみ、腰を落としているか

 

寝る姿勢
  • 仰向けに寝る場合は、膝を立てる
  • 横向きで寝る場合は、股・膝関節を軽く曲げる
  • うつ伏せ寝は避ける
起き上がるコツ
  • ベッドの場合は、横向きになって足を下ろして起きる
  • 布団の場合は、四つ這いになって起きる
腹式呼吸

普段の生活から腹式呼吸を取り入れることで、腹筋と背筋を鍛えることができます。

痛みがあるときにこそ、行ってみてください。

 

常によい姿勢を保つということは困難!

疲れたら休憩しながら何度もよい姿勢を意識することが重要です! 2)

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どれくらいの期間のリハビリで効果が出る?

週3回程度のストレッチを1ヶ月間習慣的に行った場合の効果は、ストレッチを中止しても1ヶ月間は柔軟性を維持できるという報告があります。

5分程度のストレッチでも、2時間ほど効果が。

1回のストレッチの効果は、その日のうちになくなりますが習慣的にストレッチをすることは効果が積み上げられ、やめても効果は持続します。3)

個人差はあると思いますが、継続して行うことで筋肉の柔らかさや関節の柔軟性・姿勢の変化を作っていきましょう。

 

これに加えて、筋力増強の運動を行いますよね。

筋力増強運動を始めてから、6~8週間経過すると筋力が向上すると言われていますのでストレッチと組み合わせて行うことで効果の増大を狙っていきます。4)

ストレッチや筋力増強運動を行いながら、生活指導の中での注意点を守っていくことが必要!

ひとつのことを行うのではなく、組み合わせて行っていくことがヘルニアに対するリハビリです。

 

手術しないことを選択した場合は、リハビリで症状を緩和させていくことを考えていきたいですね。

 

症状が軽減しない場合もありますよね。
そんなときは手術を再検討したほうがいいですか?
理学療法士
次で、そのことについて説明していきますね!

 

効果が出ない場合は手術もある?手術をする、しないの目安は?

  • 安静・運動療法・生活の改善などを試みて、2~3ヶ月しても症状が緩和しない場合
  • 足の筋力低下や運動麻痺が起きている場合
  • 排尿障害が見られている場合

このような場合は、手術をする必要がありますね。

安静や運動療法での痛みや痺れの緩和せず、さらには症状がひどくなってしまった場合などは症状の程度で手術を検討しましょう。

足の筋力低下や運動麻痺・排尿障害が見られた場合は即手術が必要となりますね。

 

参考サイト・文献)1)マッケンジー協会日本支部
         2)姿勢の教科書P83
         3)ストレッチの効果はどれくらい持続するのか?~習慣的なストレッチ~(リハビリmemo)
         4筋力がつく過程(都立大整形外科クリニック)

まとめ

理学療法士
今回のポイントをまとめます!
    • 手術しない場合のリハビリは
      • 安静(内服治療やコルセット装着などを含む)
      • 物理療法(温熱や牽引)
      • 運動療法(ストレッチや筋力強化)
      • 生活指導
    • ストレッチは習慣的に行うこと・筋力強化は6~8週間で効果が出てくる
    • 手術が必要な場合とは
      • 安静・運動療法・生活の改善などを試みて、2~3ヶ月しても症状が緩和しない場合
      • 足の筋力低下や運動麻痺が起きている場合
      • 排尿障害が見られている場合

 

手術しないことを選択した場合のリハビリはとても重要です。

リハビリをおこなって症状の緩和を目指し、仕事復帰やスポーツ復帰するケースがたくさんありますよ。

しかし、症状が重くなったり、足の筋力低下や運動麻痺・排泄障害などがでた場合は手術をぜひ検討してみてくださいね。

 

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