健康診断や人間ドックを受けると、その結果に、「要経過観察(C)」と記載されることがあります。

「そもそも、要経過観察ってどう意味なの?」

などとわからないことも多く、心配になりますよね。

そこで今回は、この要経過観察について、

  • 要経過観察の意味
  • 要経過観察は判定区分のどこに位置するのか
  • 要経過観察の数値
  • 要経過観察後

以上の気になるあれこれを、わかりやすく解説したいと思います。

要経過観察とは?その意味は?

要経過観察とは、字のごとく観察を続けなければいけないという意味で、再検査が必要となります。

すぐさま投薬などの治療が必要なわけではないものの、時間をおいて検査をすることで、数値が元に戻る一時的なものなのかどうなのかを確認したいレベルです。

どれくらい時間を置くのですか?

間を開ける時間は、一般的に3ヶ月〜6ヶ月後が望ましいとされております。

その間に、肥満の解消や禁酒禁煙など、生活習慣の改善をすることよって、数値が正常に戻れば異常はなし。

しかし、それでも戻らなければ何らかの原因があると考えられます。

要経過観察は判定区分のどれに相当する?

そもそも、人間ドックの判定区分には、A〜Eの5段階があり以下のように記されます。

人間ドックでの判定区分

  • A・・・異常なし
  • B・・・軽度異常
  • C・・・要経過観察・要再検査・生活指導 ←コレ!
  • D・・・要医療(D1:要治療・D2:要精検)
  • E・・・治療中

つまり、要経過観察は、C判定ということになります。

どんなときに要経過観察になる?

ちなみに、要経過観察となるのはどんなときなのでしょう?

項目別に、正常な数値と要経過観察になる数値を以下に記します。

項目 異常なし(A) 要経過観察(C)
体格指数(BMI)kg/m2 18.5-24.9 18.4以下・25.0以上
腹囲 cm 男性 84.9以下 85.0以上
女性 89.9以下 90.0以上
血圧(2回測定平均)mmHg 収縮期 129以下 140-159
拡張期 84以下 90-99
総コレステロール mg/dL 140-199 220-259
HDLコレステロール mg/dL 40-119 30-39
LDLコレステロール mg/dL 60-119 140-179
中性脂肪 mg/dL 30-149 200-399
AST(GOT) U/L 0-30 36-50
ALT(GPT) U/L 0-30 41-50
γ-GT(γ-GTP) U/L 0-50 81-100
 FPG(血漿)

空腹時血糖 mg/dL

FPG:-99

かつ

HbA1c:-5.5

1)FPG:110-125

2)HbA1c:6.0-6.4

3)FPG:126 かつ

HbA1c:-6.4

4)FPG:-125かつ

HbA1c:6.5-

1)〜4)のいずれか

HbA1c

(NGSP) %

1)より引用。

BMI=体重(kg)÷身長(cm)2

で求めることができますが、BMIが25kg/m2場合、肥満と判定されます。

また、コレステロール・中性脂肪なども肥満に関連しますが、その肥満から健康障害を合併しないよう、肥満症の度合いを選別し適切な治療や管理(健康指導)も重要となります。

その他・・・

肝機能検査でもあるAST・ALT・γ-GTPなど、無症状でこれといった所見もなく肝予備能の低下がない場合、生活指導を行いつつ、薬物などの関与はないかなど原因を突き止めることも重要です。

 

また、貧血に関連する項目を含む血算では、以下のような数値で要経過観察となります。
医師
医師
項目 異常なし(A) 要経過観察(C)
Hb(g・dL) 男性 13.7-16.3 13.2-13.6
女性 12.0-14.5 11.4-11.9
RBC(104/μL) 男性 432-528 413-431
女性 387-478 374-386
Ht(%) 男性 40.8-47.9 39.5-40.7
女性 36.3-43.3 35.1-36.2
白血球数(103/μL) 3.1-8.3 2.4-3.0・11-12.6
血小板数(104/μL) 15.2-33.1 10.3-15.1

1)より引用。

貧血の鑑別診断には、上記に加え、血清鉄を測定することも重要です。

各検査項目についてどのような場合に要経過観察になるのかよくわかりました!
でも、ただ3〜6ヶ月後に再検査をしても、何も生活習慣が変わらなければ、再び検査で引っかかる可能性も高いというわけですよね?
そうですね。
一概には言えませんが、ただ間を開けて再検査というよりも、やはり次は問題なくありたい・・・そうなると、保健師による保健指導も重要です。
医師
医師

要経過観察後の保健指導とは?

受診後の結果報告書には、結果内容と医師のコメントや保健師による保健指導が記載されます。

それには、生活習慣の改善を目的とした内容が記され、検査結果を元に、どのようなことに注意したらいいのか?

たとえば

  • 肥満解消について
  • 服用薬の注意
  • 禁酒禁煙の注意

など、これらを行なった場合、今回要経過観察だった結果が改善するかもしれませんよと、患者自身にやる気を促す内容となっています。

確かに、指導してもらえばやる気アップにつながりますね!
ところで・・・もう一つ気になることが・・・
要経過観察という判定が出ても、医療保険や生命保険には加入できるのでしょうか?

要経過観察という結果が出たら、保険加入はどうなる?

保険加入には、「健康条件」なる項目もありますよ。

実は、この要経過観察は、ほとんどの保険加入時に必要となる健康条件である「人間ドックによる異常の指摘」というものに引っかかってしまいます。

再度検査をして、問題解決のために治療をし、一定期間が過ぎれば問題なく加入できるようにもなりますが、もし大きな問題が見つかった場合はまた難しくなります。

一定期間とはどのくらいですか?

一般的には、人間ドック等で問題を指摘された後に治療をし、問題がないとわかった2年後となることが多いです。2)

しかし、全ての保険でこのような健康条件があるわけではなく、保険会社やプランによっても違いはあります。

 

少し高くなっても、保険には加入しておきたいと考えるか?

再検査で安心を得たのち、一定期間を待って保険に加入するか?

そこを考える必要がありますが、そもそも何のために受けた検査なのかと考え、要経過観察の指示には従うのがよいと考えられるでしょう。

もちろん、中には再検査までの間に保健指導に従い生活改善をして、次の検査では異常がなく一時的なものだったという場合もあります。

そういった場合は、再度申請したら通ることも・・・つまり、ケースバイケースではあるものの、どのみち再検査は必要というわけです。

参考サイト:1)人間ドック学会 判定区分表(2017年4月1日改定)
参考サイト2)保険市場 医療保険に入りたくても入れない 男性編
参考文献:人間ドック健診の実際P12・13・147・160・163・164・290・291

最後に

要経過観察について、ポイントをまとめます。

  • 判定区分でCだと要経過観察
  • 要経過観察では、3〜6ヶ月後に再検査が必要
  • 保健指導を受け、次の再検査に臨むべき
  • 要経過観察という判定が出ると、保険の加入条件に引っかかる

 

要経過観察は、要医療(病院を受診しないといけない!)ではないんでしょ?

と、なかなか仕事を理由に再検査を受けない方も多くいます。

しかし、それによって投薬などの治療が必要のないレベルだったものが、悪化してしまうことも考えられます。

そう考えると、しっかり再検査を受け、どうしてこのような結果が出たのか原因を突き止めることが重要です。

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