左右にある腎臓の上部前方にある副腎(ふくじん)は、重さ5g程度の小さな臓器です。

お腹の臓器では、肝臓や腎臓などと異なり、かなりマイナーな存在だと思います。

知ってますよ。
あの、カレーライスと一緒に食べるやつですよね?

それは福神漬け(ふくじんづけ)です・・・。
ふくじん違いですね・・・。
医師
医師

え!ええ、も、もちろん。
知ってましたよ。
あ、アメリカンジョークですよ(汗)。

アメリカンジョークってもはや死語かもしれませんね・・・。
この副腎、実は人間が生きる上で重要な役割をしています。
医師
医師

そ、そうなんですか?

では、実際どうやって、どのような働きをしていているのかというのが気になりますよね?
医師
医師

気になります!

実は、この副腎・・・ホルモンを分泌して重要は働きをしています。

ホルモンを分泌というと、副腎だけでなく、様々な臓器からも分泌されていますが・・・

どのようなホルモンを分泌し、その副腎から分泌されたホルモンはどのような働きをしているのでしょう?

今回は、副腎の働きについて、わかりやすく解説したいと思います。

副腎の機能・働きとは?

副腎は内分泌器官で、ホルモンを分泌する働きをします。

この副腎は、皮質・髄質で形成され、被膜によって包まれています。

さらに皮質は球状層(きゅうじょうそう)・束状層(そくじょうそう)・網状層(もうじょうそう)と呼ばれる3層からなり

  • 球状層は、アルドステロン
  • 束状層は、コルチゾール
  • 網状層は、アンドロゲン

というステロイドホルモン(ステロイド骨格をもつホルモン)を分泌しています。

そのため(副腎皮質から分泌されるため)これらは、副腎皮質ホルモンとも呼ばれているのです。
医師
医師

また、副腎の髄質からは、カテコールアミンという

  • ノルアドレナリン
  • アドレナリン

というホルモンが分泌されています。

副腎って、たくさんホルモンを出すんですね。

そうなんです。
では、次にこの副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンは、それぞれどのような働きをしているのか、説明します。
医師
医師

副腎皮質ホルモンの働きとは?

副腎皮質ホルモンは、上で述べたように、アルドステロン・コルチゾール・アンドロゲンの3つがあり、ステロイドホルモンと呼ばれます。

それぞれに分けて働きを説明します。

アルドステロン

鉱質コルチコイドの1つであるアルドステロンには、

  • 塩分、カリウム、水分のバランスを保つ働き

があります。

では、どのようにしてこの働きが行われているのでしょうか?

アルドステロンが作用する機序は?

このアルドステロンは

  • 腎臓の集合管に作用し、ナトリウムイオン(Na+)の(血中への)再吸収を行う。

働きがあります。

ナトリウムイオン(Na+)が血中に再吸収されるときには、水を引き連れてきます。

また同時に集合管には、カリウムイオン(K+)、水素イオン(H+)を分泌します。

ナトリウムイオンは塩ですから、血圧を上げる作用があります。

また、水を引き連れてくるため、循環血漿量が増加することになります。

つまり、アルドステロンには、

  • 血圧上昇
  • 循環血漿量の増加

をする方向に働くのです。

これにより塩分、カリウム、水分のバランスを保つ役割を果たしているということです。

コルチゾール

ヒドロコルチゾンとも呼ばれ、生命維持に重要な働きをするステロイドホルモンで、以下の作用があります。

  • 代謝に対する作用(糖質・蛋白質・脂質代謝に対する調整作用)
  • 精神や神経系に対する作用(興奮性を高める)
  • 水・電解質・血圧を調整する作用(腎臓からの水分排泄を促進)
  • 免疫機能調整作用(免疫反応を抑制して抗炎症作用を示す)
  • 骨代謝に対する作用

脳でストレスを感じている時や血圧低下時にも分泌されるため、ストレスホルモンとも呼ばれ、早朝に多く分泌され夜間に分泌が減少するという特徴があります。

アンドロゲン

男性ホルモンの一種で、男性の場合精巣から、女性の場合卵巣から分泌されますが、副腎皮質からも分泌されます。

  • 男性化作用(生殖器の発育や機能維持)
  • 第二次性徴(脇毛や恥毛の発生)

などの働きをします。

副腎アンドロゲンは、末梢でテストステロン(男性ホルモン)やエストロゲン(女性ホルモン)に変換されて作用します。

ただし、副腎から分泌されるアンドロゲンは、精巣から分泌されるものの約20%程度の男性化作用です。

 

副腎髄質ホルモンの働きとは?

ノルアドレナリン・アドレナリン、それぞれに分けて働きを説明します。

ノルアドレナリン

交感神経から分泌される神経伝達物質でもあり、ストレスホルモンでもあり、不安・やる気・怒り・恐怖・驚きなどの感情にも関係し

  • 血圧上昇
  • 心拍数増加
  • 脂肪を分解・促進
  • 筋肉増強

など興奮に関係する働きをしますが、このノルアドレナリンは、副腎だけでなく、多くが脳の中枢神経で分泌されます。

アドレナリン

基本的には、ノルアドレナリン同様の働きをしますが、ノルアドレナリンは脳の中枢神経で多く分泌されるのに対し、アドレナリンの多くは副腎髄質で分泌されています。

つまりどういうことかというと・・・
医師
医師

ストレスを脳が感じ取ると、脳の中枢神経で多くのノルアドレナリンが分泌され、それが副腎髄質ホルモンであるノルアドレナリンや、アドレナリンの分泌をも促進するというわけです。

そのため、多くが副腎髄質で分泌されるアドレナリンは、脳の精神作用へは影響しません。

そんな副腎は体のどこにあるのでしょうか?副腎の場所についてはこちらにまとめました。→【CT画像あり】副腎の場所を図で解説!病気で痛みが出るのはココ!

参考文献:
病気がみえる 代謝内分泌P216 〜221
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器P5

最後に

副腎の働きについて、ポイントをまとめます。

  • 副腎は、皮質と髄質からホルモンを分泌している
  • 副腎皮質から、アルドステロン・コルチゾール・アンドロゲンというホルモンを分泌している
  • 副腎髄質から、ノルアドレナリン・アドレナリンというホルモンを分泌している
  • アルドステロンは、腎臓の遠位尿管に作用・水や電解質の再吸収を促進・血圧上昇・循環血液量増加機能がある
  • コルチゾールは、代謝・精神や神経系・水や電解質の調整・血圧を調整・免疫機能調整・骨代謝に対する作用がある
  • 副腎アンドロゲンは、末梢でテストステロンやエストロゲンに変換されて作用する
  • ノルアドレナリンの多くは脳の中枢神経で分泌され、副腎からの分泌はわずか
  • アドレナリンの多くは、副腎髄質で分泌されるため、脳への精神作用はない

 

副腎という小さな臓器ですが、人体にとって大きな働きをしているというのが、おわかりいただけたかと思います。

そのため、副腎機能低下には注意が必要です。

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