距骨(きょこつ)という踵(かかと)の上にある骨を骨折することを、距骨骨折といいます。

踵の上にある骨って?

と・・・ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、下腿の脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)と連結して足首をつくっている部分です。

 

では、距骨骨折となった場合、どのような症状が現れ、どのような治療をすることになるのでしょう?

今回は、距骨骨折(読み方は「きょこつこっせつ」英語表記で「Talus fracture」)について

  • 症状
  • 分類
  • 診断
  • 治療法

を図や実際のCT画像を用いて解説しました。

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距骨(きょこつ)とは?

距骨(きょこつ)は足関節を構成する骨の一つで、踵(かかと)の上にあります。

上の図のように下肢の骨である脛骨と腓骨とも関節を形成します。

MRI(T1強調像、矢状断像)でみた距骨そして距骨だけを取り出した解剖は下のようになります。

つまり距骨の解剖としては、

  • 距骨頭
  • 距骨頸
  • 距骨滑車
  • 距骨後突起
  • 距骨外側突起

という部位に分けることができます。

距骨と上下、左右の位置関係を動画で見ると次のようになります。

 

距骨骨折とは?

そしてこの距骨が折れることを距骨骨折と言います。

足に起こる骨折の中では稀なもの(足部の骨折の3〜6%)です。

距骨骨折の原因

距骨骨折の原因としては高いところからの落下や交通事故などで、足関節の強制背屈や圧迫により発生するものです。

距骨骨折の好発部位

この距骨は、頭部・頸部・体部という部位に分けられますが、頸部骨折が過半数を占めます。

距骨には軟骨面(関節軟骨)が多いため、血管の進入路が限られているため、距骨体部への血流が途絶えることによって、壊死を起こしやすい特徴があります。

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距骨骨折の症状は?

踵の上部分に

  • 疼痛
  • 腫脹

がみられ、それによって歩行に差し支えが出ます。

また、これらの症状があるのにムリに重心をかけ動くと、さらに悪化し変形をきたす場合もあるので厳禁です。

距骨骨折の分類は?

距骨骨折にはHawkins分類とSneppen分類、井口分類があります。

医師
それぞれについて、イラストと共に説明します。

Hawkins分類

距骨頸部の骨折で、脱臼ありかなしかによって、Ⅰ〜Ⅳ型に分類されます。

  • Ⅰ型・・・脱臼なし
  • Ⅱ型・・・距骨下関節脱臼あり(亜脱臼)
  • Ⅲ型・・・距骨下及び距腿関節が脱臼(体部が距腿関節窩より脱出)
  • Ⅳ型・・・距骨下・距腿・距舟関節全てが脱臼

重症度分類が上がるほど、転移も大きく、壊死の発生頻度も上がります。

Sneppen分類

距骨体部の骨折で、骨折の形態や部位により

  • 正面の圧迫骨折
  • 側面の冠状面剪断骨折
  • 正面の矢状面剪断骨折
  • 側面の後突起骨折
  • 正面の外側突起骨折
  • 正面の粉砕骨折

に分類されます。

井口分類

こちらは距骨頸部と体部にまたがる骨折で、距骨底部に着目し、

  • 骨折線が距骨溝にあるもの・・・頚部骨折
  • 後距骨下関節(後距腫関節)を通るもの・・・体部骨折
  • その他のもの・・・頭部骨折・矢状面骨折・外側突起基部骨折・後突起骨折・内側突起骨折

に分類されます。

距骨骨折の診断は?

X線・CT・MRIなどの画像検査により、骨折線や転移等を確認し、上記で説明した分類に当てはめられ診断されます。

壊死の診断には、MRIが有用です。

症例 50歳代男性

右足関節のレントゲンです。

距骨の連続性を認めておらず、距骨頸部での骨折が疑われます。

右足関節のCT画像です。

CTでも同様に距骨が頸部で骨折し、前後方向に離れている様子がわかります。

3D再構成したCT画像です。

立体的に見ると、距骨の骨折の様子がよくわかります。

距骨頸部骨折(Hawkins分類Ⅱ型)と診断されました。

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距骨骨折の治療は?

保存療法もしくは、手術を選択することになります。

保存療法

転移がなければ、保存療法が選択され、ギプスによる固定などで回復を待ちます。

手術療法

転移をしている・転移の危険性のある場合、手術療法が選択されます。

血流温存を図り、壊死を避けることが重要です。

転位のある場合には緊急に整復固定し、骨折部を安定させる必要があります。

Hawkins分類では、Ⅱ型以上では手術が必要です。

手術としては、内側から骨を整復したのち固定する方法がとられます。

また、治療後は徐々にリハビリを開始し、後遺症を残さないよう、完治するまで病院に通院するようにしてください。

全治は、骨折の状態・重症度によって異なりますが、最短でも一般的に骨が元に戻る3ヶ月ほどはかかるでしょう。

症例 50歳代男性   上記と同一症例。

距骨頸部骨折(Hawkins分類Ⅱ型)と診断され、固定術が行われました。

参考文献:
整形外科疾患ビジュアルブック  P28
全部見えるスーパービジュアル整形外科疾患 P45
100%整形外科 国試マニュアル 改訂第6版P102
骨折の画像診断P229〜233

最後に

足関節を形成する骨の一つである距骨の骨折についてまとめました。

  • 踵の上にある距骨の骨が折れることを、距骨骨折という
  • 距骨骨折の中では、頸部骨折が過半数を占める
  • 血流が途絶えることによって、壊死を起こしやすい
  • 距骨骨折は、Hawkins分類・Sneppen分類・井口分類に分けられる
  • 壊死の診断には、MRIが有用
  • 転移がなければ、保存療法として固定し回復を待つ
  • 転移がある場合
  • 転移をしている・転移の危険性のある場合手術が選択される

 

中には、歩行障害などの後遺症を残すこともあります。

そのため、受傷後すぐに受診し、転移はないか・血流障害はないかなど、正確な診断のもと治療を開始することが重要です。

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