骨折にも様々な種類がありますが、疲労骨折(ひろうこっせつ)という病態があります。

ある特定の運動をしていて・・・

同じ場所が痛くなってきた。

頑張り過ぎかな?

などと、感じたことはありませんか?

症状を放置し、そのまま運動を続けると、状態はさらに悪化するのです。

 

そこで今回は、疲労骨折(英語表記では「fatigue fracture」)について

  • 原因
  • 症状
  • 診断
  • 治療法

を、図と実際のレントゲンやMRIの画像を用いて、わかりやすくまとめました。

疲労骨折とは?

繰り返し小さな外力が加わったことで、骨の強度が低下して生じるストレス骨折を、疲労骨折といいます。

骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折や骨腫瘍による病的骨折とは違い、正常な弾性抵抗を持った骨(健常な骨)に起こる特徴です。

部位としては、椎体・骨盤・大腿骨・ 脛骨・ 腓骨・腫骨など、荷重のかかる部位に好発します。

医師
分りやすくいうと、膝・手首・足首・指・かかと・肋骨など、原因に応じたその人が酷使している場所に起こるのです。

ストレス骨折とは?

負荷が慢性的にかかることで起こる骨折をストレス骨折と言いますが、ストレス骨折の中には、疲労骨折と同じように外傷などの原因がなく起こる脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)というものがあります。

この脆弱性骨折は、疲労骨折と異なり、高齢者など骨粗鬆症などで脆弱した骨に負荷がかかり起こるものなので、そこが疲労骨折とは大きな鑑別になるのです。

疲労骨折の原因は?

スポーツなど、同じ場所を酷使し続けたことで生じますが、以下のようなものがその代表です。

  • 長距離走(ジョギング)
  • サッカー
  • バレーボール
  • バスケットボール
  • 野球
  • 体操

など・・・。

一度では骨に問題が生じるほどではないものの、それが繰り返し長期間ストレスの加わることで、その集積として骨折が起こります。

疲労骨折の症状は?

  • 歩行時の痛み
  • 患部の圧痛
  • 腫れ(はれ)

など・・・外傷性の骨折のように歩行困難などとなることはありませんが、痛みを中心とした症状が見られ、その原因となるスポーツにより好発部位は異なりますが、スポーツを一旦やめると症状は改善します。

患者自身、思い当たる外傷はないものの、次第に強くなる痛みなどの症状で異変に気づき、受診することがほとんどです。

疲労骨折の診断は?

臨床症状や原因となるスポーツから疲労骨折を疑い、画像検査(X線検査・CT検査・MRI検査・骨シンチグラフィ)を行い診断します。

臨床症状や原因

上記で説明したような症状のほか、

  • 運動歴の有無
  • その運動を開始した時期
  • 練習の強度や頻度
  • 病歴はないか

などを問診し、疲労骨折を疑い、さらに詳しい検査が必要に・・・。

画像検査

確定診断のためには、画像検査が重要で、軟部腫瘤を除外することも大切です。

受診時(初期)の単純X線写真(レントゲン)やCT検査では、骨損傷の程度や経過によって、骨膜反応や骨硬化像が見られます。

しかし、中にはこの検査で異常を確認できないこともあるので、異常がない=問題とはなりません。

医師
そんな時には、MRI検査が有用です。

MRI検査や骨シンチグラフィでは、X線では確認できなかった骨折線が確認できたり、その骨折線が確認できない場合でも、骨髄内の浮腫を確認できることがあります。

症例 10 歳代 女性   陸上長距離選手

2 週間前から左下腿の痛みを自覚した。

第11回核医学専門医試験55より引用改変。

左側は、左下肢のレントゲン写真、右側は骨シンチグラフィの画像です。

レントゲンでは異常所見を認めませんが、骨シンチグラフィでは左の脛骨の骨幹皮質に異常な集積を認めています。

疲労骨折と診断されました。

症例 10歳代男性 競輪選手 左膝の痛み

左膝関節MRI のSTIRの冠状断像です。

大腿骨遠位部骨幹端付近に骨挫傷を疑う高信号所見(白い)を認めています。

海綿骨の軽度の疲労骨折と診断されました。

疲労骨折の治療は?

外傷性骨折と異なり、通常はギプスによる固定などを必要としません。

原因となる運動を中止し、患部を休ませること(安静)が治療となります。

状態によっても回復までの期間は異なりますが、症状を我慢し原因となる運動を続けた場合さらに悪化し、そうなると治療期間も長くかかってくるのです。

医師
安静が何よりも重要ということがお分りいただけますよね。

しかし、中には安静だけでは改善しないような場合もあり、その際には手術が検討されます。

参考文献:
整形外科疾患ビジュアルブック  P229
全部見えるスーパービジュアル整形外科疾患 P173
競技種目別スポーツ障害と外傷の画像診断P720〜723
読影レポートのエッセンス 2012年(臨時増刊号) (2)P132・133
単純X線写真読影のためのキーワード201P292・293
骨軟部疾患の画像診断 第2版P32・33
Knee_MR P149・150

最後に

  • 繰り返し小さな外力が加わったことで、骨の強度が低下して生じるストレス骨折を疲労骨折という
  • 荷重のかかる部位に好発
  • スポーツなど、同じ場所を酷使し続けたことが原因
  • 歩行時の痛み・患部の圧痛・腫れなどの症状が現れる
  • 臨床症状や原因・画像診断により診断される
  • 安静が何よりの治療となる

 

スポーツを頑張っている最中に起こるため、途中で一旦スポーツを中止するのは悔しいと、ムリして続ける方も・・・。

しかし、結果ムリして続けると、その後に大きく支障が出てくるため、早期に改善させるためには安静が最も重要です。

また、予防のためには、日頃から同じ部位の使い過ぎを避け、過度なトレーニングを控えることも大切でしょう。